誤解‥

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「仕事と‥どう言う関係が あるんでしょうか‥」 「大アリだよ‥ KIYOは君のプロデューサーだ」 そっか‥ そう言う事か‥ 「安心して下さい。 私‥そんなんじゃ‥」 「安心デキない。」 社長は私の目をジッっと 見つめた。 目をそらしたいのに‥ ピクリとも動かせない‥ 「このままじゃ‥ いつまで経っても デビューなんて夢のまた夢だ。それどころか君は‥ 自分で自分の才能を 潰してしまう。 それだけは‥私が許さない。」 許さない。って‥ そんな目で言われても‥ 「KIYOは 君のプロデューサーだが‥ その前にひとりの男だ。 KIYOに惚れるのは ムリもない‥ 惚れるな!と言っても ムリな話だ。 現に私もKIYOに惚れている‥」 社長はフフっと笑った‥ 私は‥ついに KIYOに惚れている事に なっていた‥ 事実なのだが‥ 「別にイイ。それでイイ。 余計な事は考えるな。 気持ちを押し殺したり‥ ムリヤリ閉じ込めたりするな。 今のこの経験が‥ きっと君の役に立つ。 表現者にとって‥ 一番大切なのは‥感情だ。 感情をもたないヤツが‥ いくらイイ歌を歌っても‥ 何も伝えられないし‥ 伝わらない。 君は‥ もっと感情を持つべきだ。 今‥君に足りないのは‥ その感情だ。 色んな経験をして‥ 心を豊かにしなさい。」 感情を‥持つ。 心を‥豊かにする。 「でも‥ 私の中の今の感情は‥ ドロドロして‥ ネチネチして‥ とても豊かになんて‥」 「それも感情だ。 それがあって当たり前だ。 釈迦みたいな人間はいない。 そんなドロドロも 受け入れなさい。 それも‥君なんだ。 自分で自分を否定するな‥ 自分だけは‥自分の事を 信じてあげなさい。 誰かに認めてもらう前に‥ 自分で自分を認めなさい。」 ドロドロも‥私‥ 自分を‥信じる‥ 自分の事を‥認める‥ そうだ‥ 私は‥ KIYOに認めて欲しくて‥ でも‥ その前に‥ 自分の事を‥認めてなかった。 そんなの‥ KIYOに認めて貰えるワケ‥ ナイ。 「たまには イイ事言うだろ‥?」 社長は‥ 琥珀色の液体を 口にして笑った‥ 「‥ハィ。たまには‥」 私も‥ちゃんと‥ 笑えているだろうか‥ ちゃんと‥ 感情を育てているだろうか‥ 「言ってくれるね~(笑) 一応、社長だからね?」 「ハイ。一応。(笑)」 私は‥初めて‥ この人が‥ 父親で良かった。 と‥思えた。 逢えて‥ 良かった。と‥思えた。
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