誤解‥

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「あの‥今日は‥ スイマセンでした‥」 ルイは赤い顔のまま謝った。 赤い顔の半分はアルコール? 「何が‥?」 「あの‥スタジオで‥ 私‥ちゃんと歌えなくて‥」 「ァア~‥別に‥ 本番じゃね~んだし。 謝る事じゃない。」 次は勝手にチョコが出て来た。コンニャロー なかなかやりよる‥ 「でも‥上手く歌えなくて‥ ボイトレの成果も全然‥ 私‥何の為にここまで 来たのか‥」 いつにも増して ルイは良く喋った。 アルコールのせいなのか‥ オッサンの仕業かは‥ わからないが‥ 「何の為に来た?」 「エッ‥それは‥ボイトレと‥ダンスレッスンを‥」 「それだけか‥?」 ルイは目をそらし 真っ赤になった。 もしや‥ オッサンと一緒にいたい。 とかっ‥!? ムリ、ムリ、んな事言われたらこっちが恥ずかしくて 何て返していいか困る。 「ダンスの方は わかんねえけど… ボイトレの成果は出てる。 歌は確実に上達してる。 だけど‥空っぽだ。 今日のお前の歌は‥ 何も感じない。 俺が初めてお前の歌を 聴いた時に感じたパワーが‥ 全く無くなってた。 お前に何があったかは 知らないが‥ 空っぽのまま歌うなら‥ 歌わない方がマシだ。」 「ハィ‥スイマセンでした‥」 「って事は‥自分でも 解ってんだな。」 ルイは‥小さく頷いた。 「お前はまだ生まれたてだ‥ 何も解らなくて当然。 いちいち謝るな‥ めんどくせぇ。 解ったなら‥解った。 解らないなら‥解らない。 ゴメンナサイや スイマセンはいらねー。 解った?」 「わかりました。」 「よし‥それでイイ。」 俺はルイの頭を グシャグシャしたのだが‥ 「あれ‥?そ~いや俺‥ この頭‥何とかしろっ つったよな‥?」 「あ‥はぃ‥何とかって‥ ど~すれば‥いいか‥」 ルイは真っ赤になった。 「ど~すれば‥って‥ ん~~‥ 真っ直ぐサラサラストレート。明日紹介してやるから 行って来い。」 確か‥オッサンは‥ 真っ直ぐサラサラストレートが好きだったハズ‥ 「ハイっ!!」 ルイはいつになく 明るい返事をした‥ 「お前がココへ来た意味は‥ ボイトレやダンスレッスン だけじゃない。 もっと‥ 世界を広げる事だ‥ 今まで知らなかった自分を‥ 見つける事だ‥ 明日からは‥ 行きたい所へ行け‥ 見たいモノを見ろ。 ただ‥襲われない程度にな」 襲われたら‥またオッサンに 何言われるか‥ ルイは俺の独り言には 気づかず‥イイ返事をした。
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