誤解‥

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ルイはアルコールの力なのか 本来持っていたモノなのか‥ 饒舌になって‥ よく笑った。 そして俺に色んな質問をして‥ 何が可笑しいのか‥ 俺は‥ 質問に答える度に笑われた‥ しかしルイの質問は 真面目なモノだった。 どうやって 英語が話せる様になったか? ギターを練習する お勧めの曲は? 喉のケアで 気をつけてる事は? 至って前向きで‥ 仕事に関する質問だった。 俺の答えのドコに 笑える要素があるのか 俺には解らないが‥ ルイがひと皮剥けたのは 間違いない。 感情を出す事が苦手で‥ 人と繋がりたがらない。 しかし胸の中には マグマみたいな塊があって‥ 歌う事でマグマが流れ出る。 その事に‥ 本人は気付いていない。 それでいい。 コイツはまだ 生まれたてだから‥ これからゆっくり 成長すればいい。 これから先の方が長いのが 生まれたての特権だ‥ 「オイっ!!帰るぞっ!!」 マジかよ‥ こんなジュースみたいなの 3杯でコレ‥? 真理ならこんなの 食前酒にもなんねーよ‥ ルイはさっきまで 笑ってたかと思うと‥ カウンターに 見事に突っ伏していた‥ ったく‥ 何でいつもこ~なの‥? コレ‥ オッサンの役目じゃね~の‥? 俺は仕方無いので オッサンの飲み代も 一緒に支払い ルイの肩を抱いて 椅子から下ろした。 「歩けるかっ‥? すぐ隣だから‥ もうちょっと我慢‥ って‥寝るなぁぁぁあっ‥!」 ルイは俺にもたれかかって 寝そうになった‥ 「ふぁぃ‥わかりまひた‥」 頭では解っている様だが‥ 体は解って無い様だ‥ 俺が手を離すと きっとそのまま 倒れ込んでしまうだろう‥ 「もぅ~っ!! 階段っ!!気ぃ~つけろよっ!! ハイっ!!右っ!!左っ!! もぅ~っ!! 左っつってんだろっ!!」 「ふぁぃ!!わかりまひたっ!!」 解ってね~じゃん‥ 俺はルイを抱えて すぐ隣のホテルまで‥ マリオネットみたいに デレンデレンになった ルイの肩と腰を 支えながら歩いた。 このほんの1分‥ あるか無いかの距離で‥ また‥ 新たな誤解を 生んでしまう事になる‥。
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