真実‥

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「ルイちゃん。 荷物はこれだけ‥?」 「あ‥はぃ‥。」 真理さんは せっせと私の荷物を 運んでくれた‥ 清春君は既に帰ったのか 清春君の姿は無かった‥ 少しショック‥ 清春君がいたら助かる。 と思っていたので‥ 「こんなに広い部屋‥ いいんでしょうか‥?」 私に与えられた部屋は 一番広い部屋だった‥ 広過ぎて‥居心地が悪い。 「この部屋にはね‥ ジンクスがあるんだって‥」 「‥ジンクス?」 「そう。 この部屋に入居した人は‥ 必ず売れる。ってジンクス♪ KIYOに‥ “Beep”の純クン‥ だからルイちゃんも この部屋じゃなきゃねっ♪」 KIYOも‥ この部屋で‥ 暮らしてたんだ‥ 「さあ!片付けて 一緒に引っ越しソバ食べよ♪」 真理さんは そう言うとテキパキと 動き出した。 真理さん‥確か‥ 妊娠中なのに‥ 「あのっ‥ 大丈夫ですから‥」 「え‥?」 「その‥独りでします‥から‥大丈夫‥です‥」 「ぁ‥ゴメンなさい。 そうよね‥何かあったら 遠慮なく声かけてねっ。」 私‥言い方‥ 間違えたかな‥ 気分悪くしちゃったかな‥ それでも 真理さんは‥優しく笑って 立ち上がった。 難しいな‥言葉って‥ 足りなくても‥ 多過ぎても‥ 意味が変わってしまう。 伝えたい事だけを 伝えるのは‥難しい。 「あのっ! お蕎麦‥ 有り難う御座います。 私‥お蕎麦‥大好きです。」 私は‥ 思い切って真理さんの背中に 話し掛けた。 「‥そぅ。良かった‥ じゃあ‥待ってるねっ♪」 真理さんは ニッコリ微笑んで 出て行った‥ 素敵な笑顔だと思った‥ 私も‥ あんな風に笑えたら‥ きっと‥ 言葉なんていらないのかも 知れない。 感情を育て豊かにする。 と言う事は‥ そう言う事かも知れない。 母さんが‥ 私に望んでいた事は‥ そう言う事だったのかも 知れない。 私はお菓子の箱を 備え付けの机の中に しまった‥ そして‥ ノートを取り出して‥ 今の感情を書き留めた。 KIYOに言われた通り‥ 日記の様に 思いを綴ったノート。 だいぶ‥ たまってきた‥ だんだん豊かになっている‥ と言う事だろうか‥ そうだとイイな‥。 私は少ない荷物を片付けて‥ 真理さんと一緒に 引っ越し蕎麦を食べるべく リビングに向かった。 好きな人の奥さんと‥ 二人きりの食卓へ‥
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