初恋です。

10/14

13794人が本棚に入れています
本棚に追加
/415ページ
「ポール‥何やってんの‥?」 オイオイ‥ 普通‥ココはスルーだろ? 何を普通に喋ってんだ‥? シンがひいてるよ‥ ポールはいつもの 黒いスーツにビシッと 黒いネクタイをしめて‥ サングラスをして‥ 完全に‥ ギャングだった。 「ボスに‥」 KIYOの仕業だという事は‥ わかっていた‥ きっとシンが花音ちゃんを 家まで送って来ると思い ポールに様子を見に 行かせたのだろう。 「ボスっ‥!?」 シンが変な声をあげた‥ 「ポール‥もういいから‥ 戻りなさい‥」 これ以上シンを動揺させては いけない‥ 「奥方‥スイマセン‥です。 私‥ロールキャベツ‥」 「奥方っ‥!?」 シンは私の顔を見て また変な声を出した‥ 「ありますっ!! ポールの分も ロールキャベツ ありますからっ! とっとと戻りなさいっ!」 「有り難き幸せですっ!! マイクの分も‥」 「しつこいわっ!!! マイクの分もあるわっ!! キャベツ2玉分作ったわっ!! ウチは相撲部屋かっ!! つ~くらい作ったわっ!!!」 ポールはドピューっと 走り去って行った‥ ったく‥ KIYOのヤツ‥ ロールキャベツで ポールとマイクを つりやがったな‥ ん‥? はああああっ‥!! 私とした事が‥ シンの前で‥ やってしまった‥ シンは呆然と 私を見ていた‥ 「あっ♪コレ‥ 良かったらど~ぞ♪ お口に合うか解らないけど♪」 すっごく可愛く 言ってみた‥ 「あ‥すっ‥すっ‥ スイマセンっ‥ いただきますっ‥!!」 シンは‥ さっきよりもド緊張で‥ タッパーの入った紙袋を 受け取った。 「絶対お口に合うよ♪」 花音ちゃんは 何事も無かったみたいに ニコニコしながら シンを見上げていた‥ 「‥ぅん。アリガト。」 シンが‥ 花音ちゃんを見下ろして‥ 笑った‥ そのシンの笑顔を見て‥ 私は‥ 安心した‥ 花音ちゃんを見つめる 優しい目が‥ 長い前髪の隙間から 見えたから‥ その笑顔は‥ きっと‥ 花音ちゃんに出会って 覚えた笑顔。 だって‥ まだ‥どこか‥ ぎこちない。 覚えたての 笑顔の様に見えた‥ でも‥ とびきりの笑顔だった‥
/415ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13794人が本棚に入れています
本棚に追加