真実‥

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しかしこのジジイは 石コロの事を 色々と教えてくれた‥ なかなか興味深い物だった。 俺は花音にも石を選んだ。 桜貝の様な 可愛いピンクの石は 花音にピッタリだと思った。 ジジイは “お前さん‥ 女が二人もいるのか‥?” とイヤらしい目で俺を見た‥ 「妹だっ!!!ボケッ!! 俺の女は真理だけじゃっ!!」 と‥花音と真理の写真を 見せびらかしてやった。 するとジジイは‥ “ちょっと待て‥ イイのがあるっ。” と‥とっておきの箱を 出してきた。 それがそのまま‥ 真理と花音のお土産になった。 確かに‥ 違う‥。 ジジイが言う‥ 意志やら命というのが 宿っている気がした。 真理のは‥ アンティークっぽい ルビーのネックレス。 花音のは‥ 恋を生み愛を育む 恋愛と癒やしの石。 ローズクォーツの ブレスレット。 “やっと‥ 嫁に出す日が来たな‥” と石に話し掛けながら ジジイはピカピカに磨いて 箱に入れてくれた‥ ジジイに磨かれた石は‥ “今まで 御世話になりました‥” と言っている様だった。 「ありがとう‥ 最高の土産になった。」 と‥ジジイの娘達を連れて 店を出ようとすると‥ 「お前さんはまた来るよ‥ その石がお前さんを ココへ連れて来る。」 と‥ジジイが言った。 「里帰りか‥ それまでくたばんなよ‥」 俺が店を出ても ジジイの高笑いは 外まで響いていた‥ その後‥ ジミーに聞いた話によると‥ その店の宝石は‥ セレブの間でも 上質な事で有名で‥ しかし‥金を積んでも ジジイは売ってくれず‥ なのに‥金が無くても ジジイに気に入られたら‥ 二束三文で売ってくれる。 ゆえに‥ セレブ達の間では 都市伝説の様に なっているらしい‥ 勿論‥ジミーは‥ ジジイのお得意様だ。 ジミーは “お前なら気に入られると 思ったよ‥ ちなみに‥KIYO.Jr.にも 教えてやった♪” と‥言いやがった。 くそガキっ!! アイツ‥ クマだか犬だかわかんねー モコモコ財布持って 何を選んだんだっ!!? ちょっと‥ 気になったりした‥ 清春が選んだ石コロは‥ ペルシャ語で青。 アラブ語で天と空。 願いを叶える 幸運を呼ぶ石。 ラピスラズリ。 石コロとジジイが‥ 清春を選んだだけの事はある。 実に‥清春らしい。 真理にも‥ 清春にも‥ピッタリだ‥ 真理は‥ この日から‥ 肌身離さず石コロを 身につけている‥ 赤い石と‥ 青い石を‥。
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