真実‥

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俺は両手に 冷やし中華を四つ持って 歩いていた‥ 私服で両手にオカモチって‥ 歩いて行くには無理があり‥ 電車に乗るにも無理がある。 大将は タクシーを使えと言った。 どんな料理も出来たてが 一番美味い。 大将の口癖。 だから出前も本来 本意では無いのだが‥ この御時世そんな事を 言ってられる程 甘くは無く‥ スープの冷めない距離の 出前をしている。 俺はタクシーが拾える 大きい通りに向かって 歩いていた‥ すると‥ もの凄い勢いで 1台の車がUターンをして 俺の横で止まった‥ デジャヴだ‥ 恐る恐る目線を横に移すと‥ アレ‥? 「良かった‥間に合って‥ シン君っ♪乗って♪」 てっきり あの日の様に お兄ちゃんだと思ったら‥ 姉御だった‥ 姉御は助手席のドアを 運転席から腕を伸ばして 開けてくれた‥ たわわな胸の谷間に 思わず鼻血が 吹き出そうになったが‥ 平静を装って助手席に座った‥ 冷やし中華四人前は 後部座席に置いた‥ 「入れ違いになったら ど~しよ~と思って‥ でも良かったわ♪」 それにしても‥ お兄ちゃん顔負けの ドライビングテクニック‥ 「あの‥お兄ちゃん‥が‥?」 「そ~‥KIYOに “野郎、拉致って来て♪” って言われたの♪」 爽やかな顔で‥ 怖い事を言うな‥ 「シン君‥何だか 大人っぽくなったね‥ 顔つきも‥カラダも‥ さすが成長期ねっ♪」 「え‥っ?ぁ‥はぁ‥」 運転しながら横目で チラチラ見られ‥ 赤くなるしか無かった‥ そ~ゆ~姉御は‥ とてもイイ匂いがして‥ 前から魅力的だったが‥ より一層 色っぽくなった気がする。 白い肌に‥細い首‥ 色っぽく浮き出た鎖骨‥ その下で‥ 赤い石が揺れていた‥ 姉御の白い肌と‥ 黒い髪‥黒い瞳に‥ よく似合って‥ その赤い石が‥ 姉御の魅力をより一層 際立たせていた‥ イカン、イカン‥ こんな時に何を考えてんだ‥ 成長期は時に面倒くさい‥ 「着いたよっ♪」 「え‥?ここ‥」 姉御は‥ お城の様な洋館の中に 車を入れた‥ 俺の拉致先は‥ 満島の爺っちゃんの 御屋敷だった‥
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