真実‥

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俺のカラダの震えは 尋常じゃなく‥ お兄ちゃんが差し出した 封筒を受け取る事さえ 困難だった‥ すると‥ お兄ちゃんに ガシッ‥!!っと 腕を掴まれた。 「ど~した‥? お前‥ジジイに 言ったんだろ? 真実を知りたい。って‥ 止めるなら今だぞ‥ 真実を知るなら‥ どんな真実でも 受け入れる覚悟をしろ‥ それが無理なら‥ 今ここで止めろ。」 そう言ってお兄ちゃんは 俺の震えた手に 封筒を握らせた。 お兄ちゃんは‥ 知っているんだろうか‥ 真実を‥ 知ってて言ったのなら‥ やはり‥兄妹って事なのか‥ いや‥ お兄ちゃんも 知らないとすると‥ その可能性は‥半々だ‥ 俺はしばらく 封筒を握りしめ 頭をフル回転させていた‥ そんな俺を‥ お兄ちゃんは‥ 黙ってジッっと見つめていた‥ 姉御は‥ お兄ちゃんの腕にしがみつき 泣きそうな顔で 俺を見ていた‥ 爺っちゃんは‥ 眠ってるかの様に 目を閉じていた‥ 俺は‥俺は‥ 決めたんだ。 お兄ちゃんと‥ 同じ覚悟で生きる。って‥ 俺を信じてくれた お兄ちゃんの目に‥ 狂いは無かったと‥ 一生かけて 証明してみせるって‥ 俺は‥ 新しい空気を吸い込んだ‥ そして‥ ゆっくりと吐き出し‥ お兄ちゃんを見た。 お兄ちゃんは‥ 小さく頷いた。 まるで‥ それでいい‥と 言ってくれている様だった‥ 俺は‥ 封筒の中身を取り出した。 全部で‥ 5枚くらいあった。 どこの何を見ていいか 解らない‥ 色んな項目と 数字やアルファベットが入った表が殆どで‥ 肝心な事はどこにあるんだ? あった‥‥ 【否定】 「ひ‥ひ‥否定って‥」 「花音は‥ お前の妹じゃない。 俺の妹だ‥。」 お兄ちゃんが‥ 静かに言った。 お兄ちゃんは‥ 知っていた‥ 姉御は‥ お兄ちゃんに抱きつき 泣いていた‥ 爺っちゃんは‥ 目を閉じたまま うん、うん。と頷いた‥ 俺はまた‥ 漫画みたいな‥ 滝の様な涙を流していた‥ あの時の涙は‥ お兄ちゃんが言った様に 流さなくて良かった 涙になった。 流すべく涙は‥ 今‥この涙だった。 お兄ちゃんは‥ あの日と同じ様に 俺にティッシュを投げつけた‥ そして‥ 姉御を包み込む様に抱き‥ 姉御の頭を優しく撫でていた‥ 満島に‥ 会いたい。 今すぐ‥ 満島を‥ 抱きしめたい。 俺は‥泣きながら‥ 強く思った。
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