真実‥

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【否定】 この二文字を見た時‥ 久しぶりに 息をした気分だった‥ 知らず知らず‥ 息をするのを忘れてたらしい。 新しい空気を吸い込み 吐き出すと‥ 俺は電話をした‥ “ハァ~イ♪ボスぅ~♪ マイクでぇ~すっ♪” んな事。解ってるよ‥ 「タコ野郎を連れて来い。」 “了解で~すっ!! 今すぐタコ 持って行きまぁ~すっ!!” マイクは言葉通り すぐにタコを持って来た。 俺が直接アレックスに会うのは初めてだった。 スキンヘッドと聞いていたが ツルツルでは無く 超短髪だった。 確かに‥ 青い瞳はヤツに似ている‥ 鼻筋も‥顎のラインも‥ よく似ていた‥ アレックスは‥ 俺を見て一瞬固まった。 リアクションまで ヤツに似ている‥ ど~やら 俺の事を知らないワケじゃ なさそうだ‥ さすが芸能プロ。 「座れ‥話がある。」 一応‥英語で言ってみた‥ アレックスは 頭を下げて俺の前に座った。 「俺は‥ 花音のお兄ちゃんだ。」 「Kanon‥」 「お前の言った通り‥ 花音は‥ お前の娘じゃ無かった。」 アレックスは‥ 当然だ‥という感じで 何度か頷いた‥ 「で‥花音の本当の父親の事 お前は知っているのか‥?」 「ぁあ‥彼女‥サツキは‥ 俺の仲間と付き合っていた‥ 多分‥彼女‥アナタの妹は‥ そいつの娘だ‥」 アレックスは何故か 悲しい目をして言った。 「そいつは‥ 今‥どこにいる?」 「もう‥この世にいない。」 アレックスは‥ 俯いて両手で顔を覆った。 そして‥ ゆっくり話し出した‥ 花音の父親‥ トニーは‥ アレックスと同じ志を持って 日本へやって来た。 アレックスにとって トニーは兄貴的存在だった。 仲間達の面倒を よくみてくれた‥ アレックスがシンの母親と 付き合い出し‥ 仲間同士の付き合いで トニーとサツキが出会った。 しかし‥ トニーとサツキの関係は 誰にも言ってはいなかった。 誰も‥知らなかった‥ 何故なら‥ トニーとサツキは‥ 駆け落ちをしようと していたから‥ アレックスが それを知ったのは‥ 日本を離れた後‥ ずっと先の事だった。 全てが狂い出したのは‥ アレックスがシンの母親に 別れを告げた‥ あの日からだった。 その日から‥ 全ての歯車が狂い始めた‥ 現在‥ 息子の代まで 影響を及ぼす事になるとは‥ アレックスも‥ サツキも‥ トニーも‥ 誰も知る由もない‥
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