真実‥

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トニーは始め‥ サツキが人妻だと言う事で みんなには黙っていた‥ サツキはそれまで 豪快に遊んでいたので 周りもまさかトニーと真剣に 付き合っているとは 思ってもいなかった。 しかし‥ 2人は短い期間で愛を深めた。 駆け落ちを考える程に‥ 一方でトニーは‥ 仲間達を見捨てる事に 最後まで悩んでいた‥ 時を同じくして アレックスは シンの母親との関係に 悩んでいた‥ アレックスは‥ トニーには相談出来なかった‥ 夢より‥女に溺れている。 なんて‥言えなかった。 トニーも‥ 同じ思いだったなんて‥ 知らなかったから‥ だから‥ 女の親友であるサツキに 相談をした‥ サツキは‥ “ホント‥男ってバカね‥ 夢と女の両立も 出来ないなんて‥ あんたは結局‥ 自分の事しか考えてないのよ サユリの事を思ったフリして 結局自分が一番 大事なんでしょ? 別れなさい。 サユリが可哀想だわ‥ 今のあんたには サユリを幸せになんて 出来ないもの。 とっとと別れなさい。” と‥言った。 アレックスは‥ その通りだと思った。 しかし‥ シンの母親‥ サユリの事を考えると‥ 普通の別れ話では 納得してくれない。 サユリに押し切られると‥ きっと自分の気持ちも 揺らいでしまう‥ そこでアレックスは‥ サツキに頼んだ。 浮気相手になって欲しいと‥ サツキとトニーが 付き合っている事も知らずに‥ サツキは‥ それを‥引き受けた。 そして‥ アレックスは‥サユリに 別れを告げた‥ サユリが部屋を飛び出した後‥ サツキはボソッと こうつぶやいた‥ “これで‥私の事‥ 一生忘れられないよね‥ サユリ‥あんたは‥ 私みたいにならない。 信じてるから‥” アレックスには‥ 意味の解らない 言葉だっただろう‥ 妹に彼氏を取られ‥ ゴキブリの様に生きてきた‥ 同じ仕打ちを与えた サユリには‥自分の様には なって欲しくなかった。 サユリは‥ 自分の様にはならないと‥ 信じて引き受けた。 それは‥ 忘れて欲しくないから‥ もうすぐ駆け落ちして‥ 消えてしまう自分を‥ 大切な親友に‥ ずっと忘れないでいて 欲しかったから‥ サツキは‥ 自分を悪の存在にしてまで サユリの中で 生きたかった‥ 俺は‥そう思った。
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