真実‥

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長い廊下が‥ 来た時よりも‥ 明るく感じられた。 来た時よりも‥ 陽は傾いているのに‥ 俺には‥ 今の方が明るく感じた。 自動ドアの様に‥ 召使いさんが ドアを開けてくれ‥ そこには既に黒塗りの いつも満島が乗っていた バカデカい車が止まっていた‥ その扉も‥ 白手袋が開けてくれた。 「満島のトコまでっ!! 大至急でっ!!」 思わずタクシーの様に 行き先を告げてしまった。 行き先。と言うか‥ 会いたい人の名を‥ 「承知致しております。」 白手袋は‥ バックミラー越しに 微笑んだ。 そして‥ 俺の大至急の通り‥ ぶっ飛ばしてくれた。 穏やかな顔とは裏腹に‥ 見事なハンドルさばきで‥ 満島に‥会える。 満島は‥ どんな顔をするだろうか‥ くりくりの目を‥ もっとくりくりにして‥ 長いまつ毛をバサバサして‥ 首をちょこっと傾けて‥ そして‥ニへっ‥っと笑う。 満島の仕草‥表情‥ 頬の色‥声‥手の温度‥ 髪の匂い‥ 全部‥全部覚えている。 忘れられるワケが無い。 あの日‥ 俺が傷つけ‥ 流させた涙も‥ 忘れてはいない。 忘れてはならない。 二度と‥ あんな涙を流させない為に‥ 二度と傷つけない為に‥ あの日の事は‥ 忘れてはならない。 それと‥ 格好イイ大人達の事も‥ 俺は‥まだまだガキで子供だ。 ガキがあがいた所で たかが知れている。 格好つけるのは‥まだ早い。 それなら‥ 格好イイ大人の力を 借りたってイイ。 甘えたってイイ。 頼ればイイ。 それで‥いい。と‥ 二人の格好イイ大人に 教えてもらった。 いつか‥俺も‥ 格好イイ大人になれる日まで‥ お兄ちゃんと爺っちゃんから 教わる事は‥ まだまだ多そうだ。 に‥しても‥ 一番格好イイ大人は‥ 姉御かも知れない。 あの二人を黙らせるんだから‥ 確かに‥ お兄ちゃんが言う様に‥ 一番怖いかも知れない。 やっぱり‥ お兄ちゃんの嫁だけの事は あるな‥ と‥いう事は‥ お兄ちゃんの妹の満島も‥ かなり怖いな‥ 俺は‥ 自然と笑みがこぼれていた‥ いつぶりだろう‥ こんな風に‥ 想像して笑ったのは‥ 俺の想像は‥ どんどん膨らんだ。 俺の夢が‥ 胸が‥膨らんだ。
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