初恋です。

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「花音ちゃんは‥ 母親の事‥」 「ん‥? 花音は‥ 俺と母親の関係は‥ 知らない。 父さんが‥ それだけは‥花音には 言わなかった‥ まだ‥ 花音と父さんと3人で 暮らしてる時‥ バイトから帰ったら‥ 酔った父さんが‥ 花音に言っていた‥ “花音‥面白いな‥ この家には‥ 血の繋がった家族は‥ 誰ひとりいない。 みんな‥アカの他人だ‥ お兄ちゃんも‥ 父ちゃんも‥ 花音も‥ みんな‥アカの他人‥ なのに‥こんな小さい家で‥ 他人同士暮らしてる。 笑っちまうな‥ アイツは何の為に 学校も行かねーで 働いてんだろな‥ 笑っちまうな‥ アカの他人なのにな‥” って‥笑ってたよ‥」 その時のお父さんは 酒に溺れていた‥ そうでもしないと‥ 精神を保てなかった。 「花音ちゃんは‥?」 「その時は‥多分‥ 意味もわからなかった だろ~な‥でも‥ 段々とその意味も わかってきて‥ ある日‥ 俺に言ったんだ‥ “お兄ちゃんと花音は‥ 血ぃ~が繋がってないの? 繋がってなきゃいけないの?”って‥ 俺は‥何も言えなかった。 俺自身が‥ 血の繋がってない父さんを‥ 拒絶し‥裏切ったから‥ そしたら‥ 花音は自分の胸の 名札つけてる安全ピンで プスっと指を刺して‥ “お兄ちゃんも 血ぃ~出して。” って‥安全ピンを 差し出した‥ だから俺もプスっと刺した‥ 花音は‥ 俺の指に自分の指を くっつけて‥ “血ぃ~‥繋がったね♪” って‥笑ってた。」 KIYOは‥ いつも花音ちゃんに向ける 優しい笑みをこぼした‥ 「花音は‥ それ以来‥ 母親の事も‥ 父親の事も‥ 一度も俺に言った事はないし 聞いてきた事もない。」 「きっと花音ちゃんは‥ KIYOと‥ 繋がってるだけで 良かったのね‥」 父親も‥母親も‥ お兄ちゃんも‥ KIYOが一人何役もしてくれる。 花音ちゃんには‥ KIYOが一人いれば‥ 何もいらなかったんだ‥ 「俺も‥そうだった‥ 真理と‥出会うまでは‥ 俺の初恋は‥真理だから‥」 KIYOは私の頬にそっと 手をあてた‥ 「最初で最後なんだよね‥?」 私もKIYOの頬にそっと触れた‥ 質問の答えは無かったが‥ その代わり‥唇が重なった。 初恋の人と‥ 結ばれるって‥ すごい事だよね‥ KIYOの初恋の私は‥ もっと‥すごい事だよね‥ この上ない幸せだよ‥ KIYOはまた‥ 止まらなかった‥ 私も‥ 止めるつもりは‥ 全く無かった。
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