武器‥

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あの後‥ 「ルイ‥何か私に 言いかけてなかったかい? 話がある‥とか?」 と‥社長に話を戻されたが‥ 「いえ‥。 何でもありません。」 とても‥ 言い出せる状況では無くなり‥ 社長は私に リフレッシュしなさい。 と言ったけど‥ 結局ひとりでキャッスルに 戻って来てしまった。 真理さんはまだ 帰っていなくて‥ 勿論KIYOもいない。 休息か‥ KIYOが休息出来るのは‥ 真理さんだけという事が 痛い程身にしみた。 私は‥真理さんの知らない 仕事場のKIYOを知っている。 と思っていた‥ とんでも無い。 何も‥見てはいない。 見せてもくれない。 KIYOが煮詰まってる事も‥ KIYOが仮録してる事も‥ KIYOが考えてる事も‥ KIYOが期待している事も‥ 何も解っていない。 私の見てるKIYOは‥ ほんの一部で‥ KIYOの表面にしか 過ぎなくて‥ KIYOの一番奥深くにいる 真理さんには‥ KIYOの全部が見えている。 KIYOの一番奥深く‥ どんな気持ちだろう‥ KIYOに愛され 抱きしめられたら‥ どんな気分だろう‥ 気がつけば私は‥ 2人の部屋に入り KIYOの匂いの染み付いた いつもKIYOが羽織っている シルクのローブを抱き締め 2人のベッドに 横たわっていた‥ KIYOの匂いと‥ 真理さんの匂い。 私はKIYOのローブに 顔をうずめ 大きく息を吸い込んだ。 KIYOに‥ 抱き締められてる様な 気がした‥ その時‥ 「ルイ‥‥ちゃ‥ん‥?」 扉の所に‥ 真理さんが立っていた‥ 私は‥ 一瞬に現実へと引き戻された‥ 思考回路がショートして 言葉なんて出なくて‥ ただ‥ とんでも無い事をした。 という現実だけで‥ 私は‥ 何も言わず‥ ただ‥部屋を飛び出し‥ 靴を履くのももどかしく‥ 自分の靴を持って‥ 裸足で玄関を飛び出した。 「ルイちゃんっ!! ルイちゃんっ!!待ってっ!!」 真理さんの声が 聞こえたけど‥ 私は‥ ただひたすら走った。 涙で視界は悪かったけど‥ とにかく真っ直ぐ‥ ただひたすら走った。 走って‥走って‥ 心臓が張り裂ければいい。と 思いながら‥ 走った。
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