何者ですか‥?

3/14

13794人が本棚に入れています
本棚に追加
/415ページ
俺はこの騒がしい女‥ 奈由美と二人暮らし。 奈由美は俺の7コ上の 年の離れたアネキ。 俺は父親を知らない。 どこの誰かもわからない。 俺の目の色や‥ 髪の毛の色で‥ 日本人では無いのは 明らかなのだが‥ 奈由美は‥ 俺とは種が違う姉弟。 奈由美の目の色や‥ 髪の毛の色は‥ ごく一般的な日本人。 俺達の母親はと言うと‥ 18で奈由美を産み‥ すぐに離婚‥ 母親は自分の事を‥ “恋愛体質”と‥ イイ様に言うが‥ ただ単に 男を見る目が無いと言うか‥ 男運が無いと言うか‥ コレもまた‥ イイ様に言えば‥の話だが‥ 要するに 男がいないと生きていけない 出会いと別れを繰り返し その度に俺達は いつも振り回されてきた‥ 奈由美が高校3年の時‥ とうとう母親は 男と一緒に家を出た。 俺達を捨てて‥ そもそも‥ ずっと捨てられてたのも 同然だったのだが‥ それでも‥ 男に逃げられる度に “私には‥お前達しかいない お前達がいれば それでいい‥” と‥母親らしい事を 言うのだが‥ 口の根も渇かぬうちに また新しい男を作る。 母親が出て行っても 奈由美も俺も 大して驚きやショックは なかった。 俺はまだ10歳で小学生。 奈由美は元々 出席日数ギリギリの いわゆる不良少女だった。 奈由美はバイトをしながら 何とか高校だけは卒業し それから水商売をしながら 俺を育ててくれた。 俺も新聞配達をしていたが 必然的に家事全般は 俺の仕事になった。 貧乏ながら 何とかやってこれた。 母親がいた頃より ずっと‥穏やかな生活。 夜中と言わず昼間からでも 卑猥な声を聞く事も無いし‥ 大の男から身に覚えの無い 暴力や罵声を受ける事も無い‥ 奈由美に関しては‥ イヤらしい目で 見られる事も無いし‥ 体を触られる事も無い‥ 俺達は‥解放された。 愛と言う名の 生き地獄から‥ こんな家庭環境に 育ったからか‥ 種違いの姉弟でも 俺達は助け合い守り合う事で 姉弟の絆は 確かなものとなった。 俺が恋愛体質に 嫌悪感を抱いていた様に 奈由美もまた‥ 愛や恋に 理想や幻想を抱かない。 奈由美は今‥ ナンバー1キャバ嬢の座を 手に入れた。 男を手玉に取って‥。
/415ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13794人が本棚に入れています
本棚に追加