序章

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昼下がりに ぼんやりと ワイドショーを見ながら ソファーでくつろぐ‥ なんて贅沢な時間でしょう‥ KIYOは お昼も食べないで ずっと部屋(スタジオ)に こもったまま出て来ない。 ワイドショーの 芸能記者が言った通り‥ KIYOの人気は衰えるどころか 熱愛宣言から また人気が出てしまった。 掴みどころが無く‥ 生活感の無い王子様の 人間らしい所が ファンの心を掴んだらしい。 そして‥ ロスで撮影された映画も 大好評で‥ (特にあのKIYOの濡れ場は 話題になった。 思い出しただけで ムカつくっ!!) 去年から撮影していた 伊達政宗も大反響で‥ (あまりに撮影が長いので KIYOは “伊達さんを早く 討ち死にさせろ!”と‥ 監督に懇願していたが‥ 残念ながら伊達さんは 討ち死にしない。) そしてまた‥ 抱かれたい男No.1になって‥ 殿堂入りしてしまった。 確かにKIYOは 去年から 社長に言っていた通り‥ 徐々に仕事をセーブしていた。 記者が言う ある関係者とか‥ どこの関係者か解らないが 当たらずも遠からず。 と言ったところだ。 主に“Moonscape”の バンド活動。 都築清雅としての 楽曲提供。 雑誌、ラジオ、CM。 それ以外の 俳優業は断っている。 その為 KIYOが家にいる時間も 以前より多くなった。 勿論 事務所スタジオに こもる時間も多くなって 相変わらず お休みは少ないのだけど‥ 「ただいまぁ~♪」 「おかえりぃ~ 外、寒くなかった?」 花音ちゃんは この春で中学2年生‥ 初めて会った時は 小学6年生だった‥ 相変わらず ネズミの国の お姫様みたいなのだけれど‥ 花音ちゃんは 出会った頃より 大人になった。 「お兄ちゃんは‥? また引きこもり‥?」 「うん‥完全に引きこもり‥ ねえ‥花音ちゃん♪ 今からお買い物にでも 行かない? ほら‥ブラがキツイって 言ってたでしょ?」 花音ちゃんの胸も スクスク成長している。 うらやましい‥ 「あ‥真理リン。ごめんね‥ お友達と約束しちゃった‥」 花音ちゃんは体だけでは無く 心も成長している。 中学生になって‥ 花音ちゃんにも お友達が出来たのだ。 喜ばしい事だ‥ 「花音‥お友達って誰?」 ただひとり‥ それを喜ばしいと 思っていない人がいた。 ゴォォォォ‥ と言う殺気をまとった KIYOが立っていた。
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