何者ですか‥?

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コンコン‥ 「花音‥」 返事は‥無い。 しかし‥ここで引き返したら 鬼調教師に怒られる‥ 「花音‥入るぞ‥」 恐る恐る扉を開けた‥ すると‥ ビュンっ!!と 何か飛んで来た。 とっさに掴んだそれは‥ ネズミの女の子だった。 花音は布団の中に 隠れていた‥ 「花音‥出ておいで‥」 俺はベッドに腰をかけ みの虫みたいな花音に 声をかけたが‥ みの虫花音は 返事をしてくれない‥ かなり‥嫌われてしまった‥ 泣きそうだ‥ また‥鬼調教師の顔が チラついた‥ 「花音‥ごめん‥ちゃんと‥ 花音の話‥聞くから‥」 「も~いい‥」 布団の中からみの虫花音の 声が聞こえた‥ さっきの“も~いい”とは 違って‥怒りよりも‥ 諦めの“も~いい”だった。 「良くないっ!! 花音には何ひとつ 諦めて欲しくないっ! それが‥俺の為なら なおさら良くないっ!!」 俺は‥何を言ってんだ‥ 言ってる事が ハチャメチャだ‥ 花音がシンに取られるのは 面白くない。 でも‥ 俺のセイで花音が 我慢したり‥諦めたり‥ そんな事は絶対にヤダ!! 「私だってヤダもんっ!!! お兄ちゃんが‥ 私の為に我慢したり‥ 諦めたりするの‥ も~ヤダもんっ!!」 みの虫花音は‥ 突然布団から脱皮して‥ 真っ赤な顔で言った‥ 「お兄ちゃんは‥ ずっと‥そ~だったもんっ!! だから‥‥私だって‥」 「花音‥」 真っ赤な花音の頬に ポロポロと大粒の雫が 転がり落ちた‥ 俺は‥花音の真っ赤な頬を そっと俺の胸に引き寄せた。 花音は抵抗する事も無く‥ ネズミの女の子を 投げつける事もなく‥ ガシーィっと 俺にしがみつき‥ 顔をうずめ息を止める様に 泣いた‥ 小さい頃‥ 滅多に泣かない子だったが 辛抱たまらなくなって 泣く時は‥ いつもこうして 俺にしがみつき‥ 顔をうずめ‥ 息を止めて泣いていた‥ まるで‥ 泣く事がいけない事の様に‥ 泣いて無いもんっ!! と言い聞かせる様に‥ 俺は‥花音に‥ ずっと前から‥ 我慢させていたんだ‥ 花音は‥ 俺の‥負担にならない様に‥ 自分の為に‥ 俺が犠牲になっていると‥ そう思い込んでいたんだ。 俺の罪を知らないから‥ 俺と花音の母親の関係を‥ 花音は知らないから‥
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