何者ですか‥?

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「花音‥俺は‥ 一度だって諦めたり‥ 我慢なんてした事ない。」 俺は‥昔みたいに 花音の背中をポンポンと しながら言った‥ 昔より‥ 大きくなった背中を‥ 「だって‥だって‥ 学校だって‥ ウインナーだって‥」 花音は顔をうずめたまま 俺の心臓に向かって 話しかけた‥ 「花音と一緒に暮らす為なら‥それ以外の事は‥ 俺にとっちゃ 我慢なんかじゃない。 いつだって迷わず選ぶ道だ。 俺には‥ 花音しか選択肢は無かった。 あとの‥学校とか‥ ウインナーとかは‥ 諦めたモノじゃない。 最初から‥眼中に無い。 俺は‥ 花音しか眼中に無かった。 その為に‥ 花音に気を使わせちまって‥ 悪いと思ってる。 ごめんな‥花音‥」 花音は涙や‥鼻水やらを こすりつける様に 俺の胸でブンブン顔を 横に振った‥ 「花音‥ それでも花音の気が 済まないなら‥ 精一杯生きろ‥ 俺よりも幸せになれ。 それが‥一番の恩返しだよ‥」 一生俺のそばに‥ それは‥ さすがに言えなかった。 花音には‥ 花音の選ぶ道がある。 俺が選んだ道を‥ 一緒に手をつないで歩くのは‥ あとほんの少しの間かも 知れない。 もしかしたら‥ もう‥手は離れているのかも 知れない。 その事に‥ 気づかないフリは‥ もう出来ない。 「お兄ちゃんより‥ 幸せに‥?」 花音はやっと顔を上げた‥ ほっぺと同じくらい 鼻が赤かった‥ 「今もぅ~お兄ちゃんより 幸せだよ♪花音は‥ ずっと‥お兄ちゃんより 幸せだったよ♪ だって‥私の幸せは いつもお兄ちゃんが くれたから‥ その分、絶対に私の方が 幸せなんだよ♪」 それは‥ 俺のセリフだ。 俺の幸せは‥ 花音一色だった。 今は‥真理色が増えた。 花音も‥ 俺一色から‥ いろんな色が増えていく‥ グリュリュリュ~~~‥ 「花音‥ お腹の虫が鳴いてる♪」 グリュリュリュ~~~‥ 「お兄ちゃんのも鳴いてる♪」 花音が笑った‥ 「花音~~~~~っ!! 一緒にお鍋食べよっ!! 残したら鬼調教師に 怒られるっ!!」 俺はムギューっと 花音を抱きしめた‥ 初めての兄妹喧嘩の後の抱擁。 あと何回‥ こうして 抱き締められるのだろう‥ きっと‥ 永遠だな‥ 俺達は‥兄妹なんだから‥ 花音が誰かのモノになっても‥ 俺は‥お兄ちゃんだから‥ 花音を永遠に‥ 抱き締めるだろう‥ 一緒にお鍋を食べる‥ 家族だから‥。
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