お兄ちゃんです‥

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“何なんだよ‥その目はよ~” 昔‥よく聞いた言葉。 お家に借金取りの人が来ては‥ お兄ちゃんが 言われていた言葉。 同じ事を‥ シンも言われていた。 “俺の花音に‥ 触るんじゃね~よっ!!!” コレもよく‥ お兄ちゃんが言っていた。 シンが‥ お兄ちゃんと同じ目で‥ 同じ事を言ったから‥ ビックリした。 「花音ちゃん‥ど~した? 遠慮しないで くつろいでてね。」 「ハイ♪ アリガトーございます♪」 「ホントっ‥可愛い~ね~」 お姉ちゃんは私の頭を ナデナデした。 お姉ちゃんは クッキリ二重で 目だけ大きくて‥ 鼻も口も小さくて‥ 笑うと私みたいに えくぼが二つ。 シンとは‥ あまり似ていない。 シンは奥二重で 鼻が高くって‥ 口も大っきくて‥ えくぼは一つ。 このえくぼも‥ シンと付き合う様になって 最近見つけた。 それまでは‥ あまり笑った顔を 見た事が無かったから‥ シンは‥クラスの中で 飛び抜けて背が高くて‥ 目立たない様に いつも猫背で‥ 下を向いてるけど‥ それがかえって 目立ってしまう。 初めの頃はよく‥ 上級生に呼び出されていた。 そしてまた‥ 猫背で下を向いて帰って来る。 時々‥顔に傷をつけて。 そんなシンを クラスの女の子は 不気味だ‥とか 怖い人‥とか 言っていた。 私には‥ 何故かそんな風に 見えなかった‥ 今なら‥ その理由がわかる気がする。 シンは‥お兄ちゃんに‥ 似てる。 「花音ちゃん‥ 今日はゴメンネ‥ 怖い思いさせちゃったね‥」 「怖くなかったよ♪ あ‥なかったですよ♪」 日本語。難しいな‥ 「いい~いい~! 敬語なんか 使わないでいい~よ~」 かたじけない。 「あのバカ‥ 愛しの君の前で 何やってんだか‥ 情けないわっ!」 愛しの君って‥ 私の事かな? 「喧嘩っ早くて嫌よねぇ~ でも花音ちゃん‥ 怖くなかったんだ?」 「うん♪全然。 同じ様な目にあってたから‥」 「ハ‥?同じ様な目?」 「うん♪でもね‥ いつも絶対守ってくれるの。 だから全然怖くないんだ♪ 何か‥シンも‥ そ~思えたの♪ だから全然怖くなかったよ♪」 お姉ちゃんは何故か 不思議そうな顔をした。 「そ~なんだ‥ アラタはバカだけど‥ 昔から‥ 喧嘩だけは強いからね♪」 「うんっ♪ すごく強かったよ♪」 昔のお兄ちゃんを 思い出すくらい‥ 強かったよ。
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