お兄ちゃんです‥

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「真理リ~ンっ♪ ゴメンネ‥アリガトー♪」 「‥スイマセン。 お邪魔‥しますっ‥」 二人は仲良く 後部座席に乗った。 タクシーかよっ‥ 「ゴメンナサイね‥突然‥ お家の方心配してない?」 アレ‥‥? 振り返って見たシンは‥ この間見たシンとは 違った。 「いえ‥大丈夫です‥ 姉は仕事で遅いので‥」 長い前髪から‥ ブルーの瞳が見えた‥ 「あ‥そう? じゃあ‥車‥出すね‥」 シン‥ 青かったんだ‥ 花音ちゃんと同じ‥ 青い目。 花音ちゃんは‥ 知ってたのかな‥ 花音ちゃんは‥ 一人楽しそうに 何やら話していたけれど‥ 私には‥ 殆どその内容は 耳に入ってこなかった。 青い瞳の青年が‥ 青い瞳の少女に恋をした。 ただ‥それだけの話。 なのに‥ 何故こんなに‥ 胸騒ぎを感じるんだろう‥ シンは‥お姉さんと 二人暮らしだと言っていた‥ 花音ちゃんと同じ境遇。 二人が惹かれ合うのは‥ 自然な事なのかも知れない。 私‥ど~しちゃったんだろ‥ この胸のモヤモヤは‥ 何なんだろう‥ 「真理リン‥聞いてる?」 花音ちゃんが ピョコンと顔を出した。 「あ‥ゴメン‥ 聞いてなかった。 も一回教えて♪」 「シンのベットは クチャク無かったよっ♪」 クンクンしたのかよ‥ シンは下を向いていたが‥ その耳は‥真っ赤だった。 「そ~なんだ‥(笑) でもそれ‥お兄ちゃんには 言わない方がいいよ‥ お兄ちゃん‥ キレたら手がつけれないし‥ 電話の時も既にキレてたし‥」 あっ‥‥。 シンはうって変わって 真っ青になって顔を上げた‥ 「あ‥キレてたのは シン君じゃないからねっ!! チチ牛だからねっ!」 「チチ牛っ‥!?」 シンは変な声を出した‥ あ‥チチ牛‥ 私もよく解んないんだけども‥ 「大丈夫だよっ♪ お兄ちゃんは‥ 私のお兄ちゃんだもんっ♪ ねっ♪真理リン♪」 「うんっ!! 私の婚約者だもんっ♪ 最高の男よっ! 私達の自慢の男‥ねっ♪」 私と花音ちゃんは笑った‥ シンは‥ 引きつりながら‥笑った。 きっと‥ この胸騒ぎは‥ 気のせいだと思った。 そ~思う事にした。 しかし‥それは‥ 気のせいなどでは無かった。 この時の私達は‥ まだ知らなかった‥ 忍び寄る‥黒い過去を‥。
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