血縁‥

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3年前‥ 俺と奈由美を置いて 一緒になった男は‥ 妻子持ちだった。 二人で家庭を捨てて‥ 新しい生活をスタートさせた‥ 俺は知らなかったのだが‥ 奈由美は母ちゃんと 連絡を取っていた‥ 俺には内緒で‥ その理由は自分でも よく解っている。 俺に言うと‥ 発狂するからだ。 母ちゃんは‥ 定期的に奈由美と連絡を取り 俺達の様子を 伺っていた様だ‥ それが‥ 男にバレた。 男にも同じ様に子供がいて‥ “俺は家庭も仕事も 全部捨てたのに‥ それなのにお前は何だっ!!!” と‥怒り狂った。 怒り狂った理由は それだけでなく‥ 仕事を辞め‥ この不景気では なかなか以前の様な 勤め先も無く‥ 生活は苦しかった。 母ちゃんは元々 水商売をしていたので 母ちゃんも夜働きに出た‥ 二人の関係は 徐々にギクシャクし始め‥ なんと男は‥ 元嫁の所に戻ってしまった。 男は元嫁の父親の会社に 勤めていた。 いわゆる逆タマだった‥ 婿養子と言う立場に ストレスを感じ‥ 何もかも捨てて‥ 母ちゃんと逃げた‥ 金の切れ目が縁の切れ目。 とは‥よく言ったモノだ。 男は結局‥ ストレスを感じながら 今まで以上に 負い目を感じながら 生きていく事を選んだ。 母ちゃんも その時にはすでに 未練は無かった。 未練と言えば‥ 俺と奈由美の事だった。 しかし‥ さすがの母ちゃんも‥ どの面(ツラ)下げて 会えばいいのか解らない。 奈由美には‥ 母ちゃんは幸せにやっている。 と言い続けていた。 男と別れたのは‥ 1年半前だと言う。 出て行って1年半で破局。 そして‥ 1年半‥ 一人で暮らしていた‥ 帰りたいけど帰れずに‥ さすがの奈由美も 引っ越した事は言ったが 詳しい住所は言ってなかった。 しかし‥ 俺に彼女が出来た。 と聞いて‥ いても立ってもいられずに‥ 俺の中学まで来て‥ こっそり俺の跡をつけた‥ 全く気づかなかった‥ そして‥ スーパーで‥ 満島に‥拾われた。 「シン‥お姉ちゃん‥ 落とし物拾ったから‥ お返しするねっ♪」 満島は‥ ニヘっと笑って‥ 母ちゃんの手を 俺と奈由美の手の上に置いた。 母ちゃんは‥ 青い瞳の少女に 何度もお礼を言って‥ 泣いていた‥
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