血縁‥

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「KIYO‥‥社長が‥ 今すぐ来る様にって‥ 私も‥和美ちゃんに 用事あるから‥ 私が運転して行くね‥」 なるべく‥ 普通に 言ったつもりなんだけど‥ 心臓がバクバクし過ぎて‥ 声が震えていた‥ “ァア~っ!? 今からだと~っ!? テメ~が来いって 言っとけっ!!バカっ!!” と‥普段のKIYOなら 言うのだが‥ 「ん‥。解った。 花音。俺と真理は タコのオッサンんとこ 行って来るから‥ 花音はあったかくして 寝るんだぞ‥ 誰か来ても絶対 出ちゃいかんぞ‥解った?」 今日のKIYOは‥ 素直だった‥ 「うん♪解った。 行ってらっしゃい♪」 花音ちゃんは‥ いつもの様に素直だ‥ 「行くぞ‥」 KIYOはTシャツの上に レザーのライダースジャケットを羽織りサングラスをかけて 玄関に向かった‥ 私もコートと鞄を持って KIYOの後を追った。 KIYOは‥ 何も言わず‥ 運転席に座った。 だから‥私も‥ 黙って助手席に座った。 「オッサン‥何だって?」 KIYOは暖房を入れて やっと口を開いた。 「花音ちゃんの‥ 身内が‥現れたって‥」 私は‥KIYOの顔を 見れなかった‥ また‥声が‥震えた。 そして‥ 何故か‥涙が溢れて来た。 「真理‥大丈夫‥ 花音は‥誰にも渡さない。 大丈夫だ。」 私は‥ 声だけでなく‥ カラダも震えていた様だ。 私の震えるカラダを KIYOはギュッとしながら‥ まるで‥ 自分に言い聞かせる様に‥ 大丈夫‥。と言った。 「真理‥もし‥ 俺が‥とんでも無い事を しようとしたら‥ 俺を止めてくれ。 真理は‥花音の事だけを 考えてくれ。 俺を‥止められるのは‥ 真理‥お前しかいない。」 KIYOは‥ 解っている。 自分が‥ 花音ちゃんの事になると‥ 自制が効かない事‥ それが‥ 花音ちゃんにとって‥ 幸せなのかどうか‥ 自分でも解らなくなる事‥ KIYOは‥ 解っている。 だから‥ 花音ちゃんの事を 冷静に見て‥ 考えられる もう一つの目が‥ 欲しいのだろう。 「わかった‥」 私達が‥ こんな約束をしても‥ 全ては‥ 花音ちゃん次第だと言う事も‥ KIYOは‥ きっと‥解っている。 KIYOは‥ まるで‥ 戦闘機を発進させるみたいに 力強くレバーを握り 車を発進させた‥ 暗い闇の中‥ 黒い過去に向かって‥ タイムスリップする様に‥ 車は夜の街を駆け抜けた。
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