血縁‥

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ガラガラガラガラ‥ ズボッ‥ズボッ‥ ダンダンダン‥ KIYOは‥ 旅館みたいな 社長宅の玄関を開け‥ エンジニアブーツを ズボッズボッって脱ぎ捨て‥ ズンズンと乗り込みみたいに 入って行った‥ そして‥ 応接間らしい扉を ピシャーっと開けると‥ 「オッサンっ!! 話聞かせろやっ!!」 と‥いきなり 喧嘩口調だった‥ しかし‥ KIYOも‥ 私も‥ 目がテンになってしまった。 だって‥ そこには‥ 社長ではなく 一組の夫婦らしき男女が 座っていたから‥ 「オィオィ‥ お客様がビビって らっしゃるじゃないか‥ 真理ちゃん♪久しぶりっ♪ 人妻の色気が出て来たねぇ~」 社長がのんきにやって来た。 「とりあえず座りなさい‥」 社長に促され 私とKIYOは並んで ソファに腰をかけた。 KIYOは長い足を組んで 手を背もたれにかけ ドカッと座っている。 「こちらは‥ 柳沢さん御夫妻‥」 「初めまして‥ 柳沢と申します‥」 銀縁メガネの 真面目なサラリーマン風の 男性が挨拶をし‥ おとなしそうな隣りの女性が 頭を下げた。 二人の緊張が 伝わってくる様だった。 この女性‥どこかで‥ 見た事ある‥ ふと‥そう思った。 「都築清雅‥んで 嫁の真理‥。」 人に挨拶をする態度では 無いが‥ KIYOは低くてイイ声で言った。 こんな状況じゃなかったら‥ “嫁の真理”と言われ‥ 照れちゃう~っ♪と クネクネするところだが‥ 私はぺこりと頭を下げた。 柳沢夫妻は 呆然とKIYOに見とれながら もう一度頭を下げた。 「んで‥ アンタら‥花音の何?」 KIYOは単刀直入に言った。 「花音の‥ 叔父と叔母にあたる。 こちらの方が‥ 花音の母親の妹さんだ。」 社長がわかりやすく答えた‥ そ~だ‥ 夢だ‥ 夢の中で見た‥ お墓の前で‥ 白いバラに向かって‥ 謝罪をしていた女性‥ 花音ちゃんの母親では無く‥ 妹さんだったんだ‥ 謝罪の言葉は‥ 母親の言葉 そのものだったのに‥ 「それで‥ど~しろと?」 KIYOは‥ 静かに言った。 狼の様な目で‥ 「あの子を‥‥ 返して欲しいんです‥ 私達の‥娘として‥」 銀縁メガネの男性は‥ 狼と見つめ合った。 草食動物の様な‥ うるうるした目で‥ 狼は‥ 今にも襲いかかりそうだった‥
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