血縁‥

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「清雅‥落ち着け‥」 社長がKIYOの事を 名前で呼ぶのを 私は初めて聞いた。 社長は‥ KIYOの父親代わりで‥ KIYOの調教師なんだと‥ 改めて実感した。 KIYOは青い炎をまとったまま ドカッとソファに 腰を下ろした。 「その大先生が‥ 花音の存在に 気づいたんですね‥ 娘の忘れ形見の存在に‥ しかし‥ 大先生なら‥ こんな正当法では無く‥ 花音を奪う事くらい 簡単な事でしょう? しがない芸能事務所を 潰すくらい‥ 簡単な事じゃありませんか?」 社長はメガネを クイっと上げて言った‥ 「大先生は‥ まだ‥知りません。 これは‥私達夫婦の一存です。私も‥彼女に子供がいた事を 1年程前に聞かされました‥」 1年程前‥ 「あの‥ お墓の白いバラって‥」 私は初めて口を開いた。 「ハイ‥勝手して 申し訳ありません。」 やっぱり‥ 彼女が白バラの人だった。 テレビでたまたま KIYOの父親の告別式を見て‥ 一度だけお姉さんに 会いに行った時‥ 彼女の旦那である KIYOの父親に会った。 それで‥ 解ったのだと言う。 「それで‥調べ上げました‥ 信じられなくて‥ 本当に‥驚きました‥」 そりゃそ~だろう。 KIYOが姉の子を 育てていたなんて‥ それから‥ 何度となくお墓参りを する様になったらしい。 罪滅ぼしの為に‥ 「あなた方の一存‥ と言う事は‥ 大先生は‥ 生い先短いのですか?」 社長は単刀直入に言った‥ 言葉を選ばずに‥ 社長も‥ ハラワタ煮えくり返っている のだろう‥ 「ハイ‥ もう‥長くはありません。 勝手な事は‥ 重々承知してますっ!! 大先生に‥ 一目でいいので‥ 彼女に会わせて貰うだけでも かまいませんっ!! どうか‥お願いしますっ!!」 夫婦は‥ 2人揃って土下座をした。 本物の土下座を見たのは 初めてだった。 「帰れ‥ 帰って大バカ先生に言っとけ‥ それがお前の人生だ。 お前がやってきた事だ。 最後に イイ思いすんのなんて‥ 甘いんだよ。 みんな‥ 後悔しながら生きて‥ 後悔しながら死んでいく‥ そんなモンだろ。 テメーだけ イイ思いなんてさせるか‥」 KIYOは‥ 青い炎をまとい 最後まで静かに言った‥ こんなKIYOを見たのも‥ 初めてだった。
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