血縁‥

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「こちらが‥?」 大先生はテレビで見るより 小さく感じた。 高級感溢れるガウンを着て 杖をついて‥ 大先生の横には‥ いかついドーベルマンが ピタリと寄り添っていた。 その威厳と言うか オーラは引退してもなお 現役さながらのモノがあった。 「ハイ。先日お話しました‥ 満島社長と都築様です‥」 「満島智己と申します‥」 俺は名刺を差し出した。 「ん‥」 大先生は名刺に視線を落とし 次にKIYOをジッっと見た。 KIYOは‥ ソファに座ったまま‥ 大先生をジッっと見たまま‥ 動かない。 「近頃の若いモンは‥」 大先生が 吐き捨てる様に言った‥ 「近頃のジジイは 挨拶されて自分の名前も 名乗らねぇのか?」 「何だと‥?」 柳沢氏がおどおどして 俺に助けを求める顔をしたが‥ 俺は‥また ドキドキワクワクした。 「テメ~の事‥ 誰もが知ってると思うなよ‥」 「何っ‥!? 確かに‥しかし‥ 君にも同じ言葉を返そう。 君の事‥誰もが知ってると 思うなよ‥。 私は君の事は知らん。」 「俺もテメ~の事なんて 知らねーよ。 だから‥ 知りに来たんだよ‥ 大バカ先生とやらを‥ この目で確かめに来た。」 大バカ先生は‥ KIYOの狼の様な目に 一瞬怯んだ様に見えた。 「都築清雅‥ 花音のお兄ちゃんだ。」 KIYOは態度を変えず デカい態度のまま言った‥ 「‥‥‥。」 大バカ先生は‥ 完全にKIYOのペースに ついていけてない様子‥ 「だから‥ テメ~も名乗れよっ!! ホント大バカ野郎だなっ!!」 「おっ大バカ野郎だとっ!? 誰に向かってっ‥」 「誰かわかんねーから 聞いてんだろがっ‥バカっ。」 「ばっバカっ‥!? クッ‥柳沢‥大吾郎だっ!!」 大先生は‥顔を真っ赤にして 怒りながら名乗った。 「名前にも“大”が 入ってんのかよ‥ それで‥大バカ先生か‥」 いかん‥ 笑いそうだ‥ 俺は必死に笑いを我慢した‥ 柳沢氏は‥顔面蒼白で‥ 大先生は‥ 顔を真っ赤にして‥ ワナワナ震えていた。 KIYOは‥ 涼しい顔で‥ 大先生にくっ付いていた ドーベルマンを すでに手懐けていた‥ ドーベルマンは‥ ドーベルマンらしくない 可愛い声を出して‥ KIYOに喉を撫でられていた。 大先生は‥ それを見て‥ ハトが豆鉄砲をくらった様な 顔をしていた‥ いかん‥笑いそうだ‥。
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