血縁‥

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大先生がいくら呼んでも ドーベルマンは KIYOの横から 離れようとはせず‥ 大先生のその慌てっぷりが 我慢出来ないくらい 吹き出しそうになったが‥ 何とかこらえた。 結局‥ 大先生は‥ バツが悪そうに咳払いをして ドーベルマンを諦めた。 そして‥気を取り直して‥ 「話は弥生から聞いた。 皐月の娘は‥どこにいる?」 と‥大先生が切り出した。 「俺の妹だ‥ 俺と一緒に決まってんだろ‥」 「私の孫だ。 血の繋がった孫だ。 君には感謝してるよ‥ 孫を育ててくれて‥ それは‥感謝している。 しかし‥彼女には‥ この柳沢の血が流れている。 彼女は‥ この家の人間だ。 お兄ちゃんには悪いがね‥」 KIYOは‥黙って聞いていた。 「言っただろ‥? 俺は花音のお兄ちゃんだ。 一生花音のお兄ちゃんだ。 花音をこの家の人間に するつもりは無い。」 KIYOは大先生を ジッっと見つめて言った‥ 二人はしばらく 見つめ合った。 そして‥ 大先生がフッと笑って‥ 口を開いた。 「何が目当てだ‥? 金か‥?地位か‥?名誉か?」 KIYOも‥ 同じ様にフッと笑った。 「笑わせんな‥大バカ先生。 逆だ‥」 「逆だと‥っ!?」 「悪いが‥ 金も‥地位も‥名誉も‥ もう手にしてる。 そんなモンは 後から付いて来た おまけみたいなモンだ‥ 俺は‥金も‥地位も‥ 名誉も‥全部捨てても‥ 花音だけは渡さない。 そんなおまけみたいなモンと 花音を天秤にかける様なヤツ には尚更だ‥残念だったな。 諦めろ。大バカ先生。」 大バカ先生は 苦々しい顔をして‥ 見る見るうちに 真っ赤になった。 大丈夫か? 血圧急上昇で ぶっ倒れるんじゃないか? ただでさえ 生い先短いのに‥ 「それじゃ‥何か? キミは‥血の繋がってない 彼女の為に今の地位をも 捨てられるのかね? 一度脚光を浴びた人間は‥ なかなか元には戻れない。 私は‥そんな人間を 何人も見てきた。 キミは‥ 違うと言いきれるかね?」 何だ‥? 大先生‥KIYOの事 知ってんじゃないかよ‥ イイ年して負けず嫌いか? 「試してみるか‥? 初めに言ったハズだ‥ こっちは‥ 全面戦争覚悟だってな‥ それくらいの覚悟がなきゃ ど~する?」 KIYOは‥ 一際鋭く光る狼の様な目で 真っ直ぐ大先生を見つめた‥ 何故か‥ ドーベルマンも‥ そんなKIYOを見つめていた‥ まるで‥ 圧倒されているかの様に‥
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