血縁‥

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「御父様‥ いい加減にして下さい。」 薄い黄色のニットを着た 弥生さんが KIYOと大先生の 青と赤の火花の間に 割って入って来た。 「弥生‥お前は黙ってなさい!これは柳沢家の問題だっ!! お前は黙ってろっ!」 大先生は真っ赤なマグマを 出して噴火した‥ 「黙りませんっ! 私も柳沢家の人間です!」 「弥生の言う通りです‥ 私も口出しさせて頂きます!」 弥生さんを応戦する様に 白いセーターを着た 柳沢氏も入って来た。 「何だと‥? 誰のおかげでここまで来たと 思ってるっ!!? 貧乏苦学生の分際で‥ 誰がお前をここまでっ‥」 「大先生のおかげです! しかし‥私も‥ この家の道具に過ぎません‥ それは私の 本意ではありませんっ!!」 白はギュッと目をつむって 本音を吐き出した。 「何だと‥?」 「私は‥弥生と一緒になれるだけで良かった‥ しかし‥皐月を傷つけ あんな風にしたのも‥ 自分です。 私も‥弥生も‥ 犯した罪は一生かけて 償うつもりでいました。 だから‥ 大先生の言いなりに‥ この家の為に‥ 道具にだってなれた! しかし‥ 都築様の言う通りです。 皐月の子を‥ この家の道具にすると 仰るなら‥私は‥ 断固として反対しますっ!」 白は‥ 大先生と同じ様に 顔を蒸気させて言いきった。 「御父様‥ 私も‥彼と同じです。 御父様‥御願いです‥ もう‥同じ事を 繰り返さないで下さい。 もう‥終わりにしましょう。 姉さんも‥きっと そう願ってるはずです。 御父様も‥ 後悔してらっしゃったじゃ ないですか‥ もう忘れてしまわれたん ですか‥?」 黄色は‥ 涙を流しながら言った。 「忘れてなど‥‥ 皐月の事を忘れるなど‥ だからこそ‥皐月の子を‥」 赤い大先生は 言葉を詰まらせた。 「花音を‥死んだ娘の代わりに可愛いがりたいか?」 KIYOが静かに言った。 「花音は‥ 誰の代わりでも無い。 俺の‥ 世界でたった一人の妹だ。」 「私にとっても‥ 世界でたった一人の孫だっ!!」 また‥ 赤と青は見つめ合った。 俺は‥ 二人から放たれる オーラに見とれていた‥ KIYOから放たれる 青いオーラには‥ 違う色が混ざっていた。 以前には無かった‥ 母性の様な‥優しい光。 コイツはまだまだ‥ 進化している。 俺は‥そう思った。
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