血縁‥

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「君は‥何故そこまでして 彼女に執着する?」 「執着‥?何だそりゃ? 家族が一人持ってかれそ~に なってんだ‥ 誰だって必死になんだろ? 必死になって悪いかよ?」 「家族ね‥」 大先生は フッと笑った様に見えた。 「血も繋がってないのに 何が家族だ‥とでも 言いたそうな顔だな‥」 KIYOは完全に フッっと笑った。 「お前の残したいのは‥ 血だったな?DNAか? 俺が残したいのは‥ 思い出だ。」 「思い出‥?」 「ぁあ‥。花音が初めて “ニィニィ”って 言ってくれた事‥ おねしょして笑って 誤魔化そうとした事‥ 豆腐にローソク挿して 俺の誕生日を祝ってくれた事‥ そ~やって俺と花音は 数えきれない思い出を 積み重ねて‥ 血よりも濃い家族になった。 俺はまだまだこれからも 花音と一緒に思い出を 積み重ねたい。 花音の記憶に いつまでも居続けたい。 俺の記憶に‥ いつまでも花音が居る様に‥ ジジイ‥頼むっ!! 花音を‥奪わないでくれっ!! 花音は‥俺のカラダの 一部なんだよっ!! 頼むっ!!ジジイっ!!」 KIYOは‥ ジジイと言いながら‥ 頭を下げた。 「私からも‥ お願い致します。 コイツの言う通り コイツのカラダの一部は 花音で出来ています。 そう言う意味では‥ 血縁なんかよりも もっと濃いモノでしょう。 もし‥大先生が 私達の意に反する様な 行動を取られるのなら‥ 私は‥本気で 潰しにかかりますよ。」 脅しじゃなく‥本気で。 「社長自ら宣戦布告とは‥ そんな事をして‥ アナタの会社の従業員‥ またその家族が 路頭に迷うというリスクを 考え無い程バカじゃ ないでしょうに‥」 バカって‥ 「いえ‥あいにく私は バカ社長でしてね‥(笑) その代わり‥ こんなバカ社長に 付いて来た社員は‥ みんな‥頭がイイ。 何が大切で‥何を守るべきか‥それは‥アナタより よく知っています。 きっと‥社員一丸になって 戦いますよ‥ 私は‥会社が潰れても 痛くも痒くも無い。 家族同然の社員がいれば‥ 何度でも立ち上がれます。 逆に‥社員が居なければ‥ ウチの会社は 崩壊しますがね‥(笑)」 笑えるくらい 本当の話だ。 バカ社長一人では‥ 何も出来ない。 それが‥ 会社と言うモノだ‥ 会社と言う‥ 俺の大きな家族だ‥ ふと見ると‥ 大先生が‥ フフっと‥笑っていた。 今までとは違う笑顔で‥。
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