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そのメリーさんの都市伝説が変化した。
私はその都市伝説が変化した謎を追っている岩里李紗(イワサトリサ)。
隣に居るのは同僚の早瀬準(ハヤセジュン)。
こいつは誰にでも敬語で話す丁寧な奴。
私たちはお遊びでこの都市伝説を追いかけているわけではない。
れっきとした、我々の"仕事"。
「……李紗さんはこの話、どう見てます?」
「……へ?」
黙っていた早瀬がいきなり口を開いた。
「ですから、"メリーさんの新しい都市伝説"ですよ。……実際に被害者も出てますし……。」
「そうね。……イタズラとは考えにくいわ、被害者がいるのだから。でも発生源は間違いなく学生ね。」
高校生や中学生、小学生は都市伝説が好きな年頃。
イタズラで作った都市伝説を話したら、いらない物までくっついて拡がっていく。
早瀬も私も、今回もそんなものだと最初は思っていたのだが、そうはいかないらしい。
全く……質の悪い都市伝説だ。
私が思考を巡らせていると、無線が入った。
「岩里!早瀬!……まだ情報は集まらんか?」
「所長……。そうですね、なかなか集まっていません。」
「はっ!岩里らしくないな。お前はクールにガンガン攻めていくだろうに……どうした?」
「…………。」
「……まぁいい。早瀬、岩里が暴走しないよう見てろよ。」
「はい。心得ております。」
早瀬の返事に所長は少し笑ってから無線を切った。
私たちが所属する組織の所長、山下涼(ヤマシタリョウ)。
組織は彼一人が立ち上げたらしい。
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