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「**を返して」
ナイフを突きつけながら、サナギは、眼帯の少女にそう言った。もうボクは、どうしていいのかわからなくなっていた。何をやっているんだ、サナギ、そんなものを突きつけて。いつもの優しいサナギは、どこにいってしまったんだ。
「お兄ちゃんは、絶対に取り返す」
眼帯の少女も、そう言うと、なにやらポケットを探った。中から出てきたのは、同じく収納しきのナイフだった。
8
「お兄ちゃん。良かった……良かった」
夜の公園のベンチで、眼帯の少女は、そう言って、ボクの膝に顔を埋めた。そこでボクは、今までのことのてんまつを聞いた。
ボクはある日、この眼帯の少女、妹と喧嘩をした。その時ボクは、受験生だった。神経がピリピリしていたボクは、勢い余って、妹の目玉にボールペンを刺した。その後、ボクは家から出ていき、行方不明になった。
子供に興味のなかった母親と父親は、あろうことか、それを警察に話さなかった。そして、我が家から、長男は消えた。
ある日、郵便受けに、手紙が入れてあった。それは、金をこの口座に入れなければ、ボクを殺す、という内容だった。
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