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夢をみた。そこでボクは、サナギ以外の、もう一人の女性と向かいあっていた。
口論をしている。ボクはそう思った。どうやらボクは、この人と言い争っているようだ。
そしてその怒りが沸点に達したとき、ボクの右手には、一本のボールペンが握られていた。
そしてボクはそれを、彼女の左目に突き刺した。
「**」
ボクはそこで目を覚ました。ボクの隣には、不安そうにボクの顔を伺っているサナギの顔がある。
「大丈夫? こんなに寝汗かいて」
ボクの額には、大量の汗が浮かんでいる。どうやらボクは、悪夢を見ていたようだった。
「うん。大丈夫だよ」
気丈に振る舞った。でも、本当は全然大丈夫じゃなかった。心臓はバクバクしているし、呼吸は荒い。本当にひどくて、リアルな夢だった。
「大丈夫」
「……なら、いいんだけど……。本当に、具合が悪かったら、言ってね。直ぐに、薬買ってくるから」
「大丈夫だよ」
そう言ってボクはサナギを抱き締めた。ひどく心配をしてくれているサナギが、いとおしくてたまらなかった。サナギは、ボクだけのものだ。そんな気持ちが、ボクの心の奥底から沸き上がってくる。
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