二人の家

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「大丈夫だよ」 ボクは、もう一度、サナギに言い聞かせるようにして、そう言った。サナギは、うんと、静かに首肯した。 4 「じゃあ、私は行ってくるから、**は待っててね」 玄関。サナギはそう言うと、扉に手をかけた。どうやら、下に行くらしい。買い出しにでもいくのだろう。 「うん。わかった。気をつけてね」 ボクはそう言うと、軽く手を振る。サナギもうんと言うと名残惜しそうに手を振って、扉を開けた。今日も、一人の時間がやってくる。 サナギが出てからしばらくして、ボクは、ある『もの』の前に立っていた。 その先には、金庫。 ボクは、これが一体なんなのか、前々から気になっていた。この暖かみに包まれている部屋の中で、一つだけ、くりぬかれた空間の中にあるこの金庫に。 前から、サナギが夜にこそこそと開けていることは知っていた。でも、その時にボクは、それを見ようとはしなかった。咎めようともしなかった。壊れてしまうと思ったからだ。それをしたら。サナギとの生活が。 「大丈夫、だよね」 ボクは、そう独り言を漏らした。でもボクの心の中には、小さなわだかまりが残っていた。もしかしたら、今朝見た夢の中に、何か関係があるかもしれないと。 .
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