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サナギがまだ起きていて、何かをやっている。ボクはそう思い、ドアをそっと開けて、居間の方を隙間から覗いた。
その中には、金庫をなにやら漁っている、サナギの姿があった。ここからでもなんとか見ることができる。
金庫の中には、沢山のお金が入っていた。
6
ボクは、一週間たった今でも、金庫の中身の詳細を聞けずにいた。なんとなく、気が引けたのだ。それを聞くと、何かが終わってしまうような、そんな気がした。
「どうしたの? **。そんな顔して」
サナギはそんなボクの様子に、気付いたようだった。
「ん、いや、なんでもないよ」
ボクたちは今、居間のテーブルに座って、二人で話をしている。
「大丈夫?」
「うん。大丈夫だよ」
ボクは、平気を装って、そう答えておいた。
「ホントに?」
「ホント」
ボクはニコリと笑う。すると、サナギもニコリと笑った。ああ、この笑顔だ。この笑顔を見るために、ボクは生きている。
「私、今日もいかなきゃならないの」
「え」
時間は、夜の10時を回っていた。行く、というのは、やはり下に行くのだろう。サナギは時々、こんな時間に下に行くことがあった。
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