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「大丈夫? 危なくない? もうこんな時間だよ?」
ボクは心配になり、サナギにそう言った。
「大丈夫よ。なれてるから」
サナギはそう言って、ボクを安心させるために、もう一度ボクに笑いかけてくれた。
「う、うん」
ボクは、仕方なしに首肯するしかなかった。
「それじゃあ行ってくるから」
サナギはそう言って、扉に手をかけた。
「この家のことは任せたよ」
「うん。任せておいて」
最後にサナギはボクにもう一度微笑みかけ、家を後にした。
サナギはこの時間に下に行くとき、必ずバックを手に持っている。何が入っているかがわからない、謎のバックを。
しばらくして、ボクは一人になった。一人の時間。心なしか、少し寂しくなる。
それからしばらくした後だった。いきなり、家の扉が開いた。サナギが帰ってきたのだと思った。だけど、違った。
「お兄ちゃん!」
部屋の中に入ってきたその眼帯をつけた少女は、ボクにそう声をかけた。
「早く逃げよう!」
7
ボクたちは、下に向かって、森の中をかけていた。もう、何がなんだかわからなかった。わかっているのは、この少女が、夢の中にでてきていたあの少女と、同一人物である、ということだけだった。
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