1・日常に、プラス

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わたしたちが通う高校は、田んぼが広がる風景の真ん中にある。 とても田舎だけど、住宅地の方も大差ない。 人口、少なめ。 進学先の種類も豊富じゃないから、段階的に学校の規模は大きくなってはいくけど、顔ぶれはあまり変わらずだ。 こちらの中学とあちらの中学を足しましたよ、というかんじ。 わたし、日紫喜みのりの周囲も例に漏れず。 仲がいいのは、小学校からの付き合いの、小夜と大輔。三歳から一緒の、百瀬幹二。 わたしや小夜、大輔をはじめ、この地域は日紫喜姓が多い。読みづらいらしい姓は、他の土地へ住むと『ひじき』とあだ名をつけられることが多いみたい。なんて単純なんだろう。 なんとなく、別段意識もせず、その姓で誰かを呼んでしまうと、目的の人物以外も振り返るから、日紫喜姓は下の名前で呼ばれることがほとんどだ。 だからわたしは、百瀬幹二のことは『百瀬』と呼ぶ。なんだか新鮮だし、響きもいいから。 他はそれなり。 広く浅く、仲のいい子はそれなりにいる。 ちょうどいいくらいの、わたしのキャパで日常は穏やかに過ぎていく。
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