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意表を突かれた様に目を見開いた沖田は、またニコリと笑う。
しかしその目は笑っていなかった。
「…別に恐くなんかありませんよ」
沖田の動揺を見て取り、今度は土方がニヤリと笑った。
「天才って言われる程の腕を持つお前のことだ、相手が恐いなんてこたぁないだろうよ。
俺が言ってるのは、お前自身のことさ」
「……」
ついに笑顔が無くなった沖田は黙って土方の言葉を待つ。
「お前は剣を握ると人が変わるからな。
普段は近所のガキと遊んでヘラヘラしてるってのに、剣の事となると稽古でも容赦がねぇ。
お前みたいな奴に本気で相手されたんじゃ、堪らねぇよな。
剣を握ったお前は鬼のようだって言われてるぜ」
「土方さんだって怖がられてるじゃないですか」
心外だと言わんばかりに、沖田は土方へ言い返した。
「俺はいつものこったろ。
それにちゃんと稽古じゃ手加減してるぜ?」
「……」
痛いところを突かれた沖田は押し黙った。
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