Music

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「やあお嬢さん」 彼方に声を響かす、その少女の背後から声をかけた。 ぱたぱたと揺らす、狐よろしき太い尻尾を止め、少女はこちらを振り向いた。 「ん、あなただって子供じゃないですの」 むっとした表情でこちらを睨む。 「綺麗な歌だね」 声をかけるも、少女は未だに敵意を孕んだ眼差しを、私に向けたままだ。 どうやらひどく警戒されているらしい。まぁそれも仕方あるまい。 彼女は見たところ半獣人。縄張り意識は人一倍強いのだろう。 「キミが作ったの?」 私はなんとか彼女と打ち解けようと、続ける。 「えぇ」 のちの閑話休題。 これではまるでお話しにならないじゃないか。 「邪険にしなくてもいいじゃない。 私はあなたとお話したいだけなんだから」 「私はしたくありませんわ」 そっぽを向かれてしまった。 どうあっても、少女はこちらを向いてくれそうにない。 現時点では。 ……ならば、いいか。仕方がない。 ー♪ 始めは、ミの音か。 少女の頬を、ちらと見る。 薄い褐色の肌が、紅潮していた。好奇の紅か。 私を見る目が、先の刺々しいものでなくなっていた。
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