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* * *
「隼人、真奈居たよ」
「おぅ。お帰り」
境内の入口に着くと、隼人が寄り掛かっていた石垣からヒョイと身体を起こした。
そうして、スッと私に手を差し伸べる。
「っつーか迷子って。真奈はいつまで経ってもお子様だなー」
「えぇッ!?違うでしょ?隼人が自由過ぎるんでしょ!?」
「いいから、手。」
「う………。」
有無を云わせない態度に、次の言葉が出て来ない。
「真奈?また迷子になるよ?」
躊躇う私に、慶が繋いだ侭の右手を振りながら、態と急かしてくる。
「…ッ、ならないもん!!」
強気で反論しながら伸ばした左手は、隼人の手にしっかりと掴まれた。
「じゃ、帰るかー」
「「うん!」」
隼人と慶の間に挟まれて、三人で手を繋いで歩く。
時折擦れ違う女の子達が、羨望の目で私を見ていた。
確かにこの二人、格好良いもんね。
隼人は云うまでも無いけど、慶も少しずつ男らしくなって来たし。
彼女が出来た所為もあるのかな。
前よりずっと、大人っぽくなった。
これから先、今まで通りこうして一緒に過ごす時間は、減ってしまうのかも知れない。
だけどまだ、今は。
この関係に甘えていたい。
END.
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