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* * *
「隼人君って医者目指してるんだって?」
「…だったら何?」
「先刻それ聞いて思ったんだけど」
「?」
「もしかして、お父様から慶君を護る為?」
「…ッ!?」
「やっぱねー。息子が二人とも跡継がないなんて云ったら、あのお父様は黙ってなさそうだもんねー」
「………違ぇし」
「またまた~」
あ、あれ?
リビングに入ると、華やかな食卓の上には似付かわしくない殺伐とした空気が流れている。
……今、来たらマズかった?
「あ、吉成君。おいで」
「はっ…はい」
促されて三輪先生の隣に座ると、先生は先刻買って来たホールケーキの箱を隼人の前に差し出した。
「え。なに?」
箱を前に、隼人の眉がピクリと動く。
対照的に三輪先生は態とらしい位に可愛らしく振る舞っている。
「隼人君にプレゼント☆」
「いらねー。」
……うわぁ、即答。
三輪先生のとびきりの笑顔を前に、なんて勿体ない。
って、それは兎角。
三輪先生、先刻から隼人の反応を楽しんでいる様にも見えるんだけど…。
どの道、隼人に全く動じていないのは、確かだ。
それより隼人、先刻から随分と機嫌が悪い。
…よね?
あの隼人が女の人を相手に優しくしないなんて余程の事態だと思うんだけど。
…もしかして。
やっぱり僕等とクリスマスやるの、嫌なのかな…。
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