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「…ハヤちゃん、空気読んで」
「は?空気?」
少し俯いた僕の隣で、三輪先生の声色が変わる。
「慶君ヘコんじゃったじゃん。大体、私がアナタにプレゼントなんて買う訳ないでしょう?」
「「え…。」」
顔を上げた僕と隼人の声が、宙で重なった。
……云われてみれば…、確かに。
僕だって貰ってないのに隼人にプレゼントなんて、本当だったらそれこそヘコむ。
先生はピッとケーキを指差して真っ直ぐに隼人を見た。
「喰ったかどうだか、確かめてみな?」
「…!!」
…………うん??
何のこと?
頭を疑問符が巡る中、隼人には直ぐに伝わったらしく、ガバッと物凄い勢いで箱が開かれた。
出て来たのは、真っ白な生クリームに包まれたデコレーションケーキ。
隼人があからさまに安堵の表情をする。
…否、あの、だから、さ。
なんなの?
ちっとも話が見えないんだけど?
先生と隼人の顔を交互に見比べたけれど、ちっとも推し量れない。
あのー……。
出来れば僕も仲間に入れて下さい。
「私、慶君の事は大切に想ってますから。…そんなに心配しなくても大丈夫だよ。」
「………。」
僕の心とは裏腹に、シャンパンの瓶の蓋に手を掛けながら三輪先生が穏やかな表情を見せた。
「っつーかそもそも私ヤンキーじゃないし?そんなにがっついてないから!」
蓋が開かない所為なのか、三輪先生が必死に訴えている様に見える。
その必死さが、…妙に可愛い。
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