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* * *
「あははは!ハスミちゃんやるなぁー」
「先生、笑い事じゃないよ…」
「そう?」
下校時間になり、これからカラオケ大会だと云う英士たちを見送って、僕は会議室に来ていた。
ここで三輪先生とランチをする約束をしていたのだ。
自ら「料理は好きじゃない」と宣言した先生が、何故か僕の作った弁当をどうしても食べたいとか云うから、こうして作って来たんだけど…。
高校生男子の手作り弁当なんて、大したモノは入ってないのに。
「んん~、この玉子焼きマジで旨い!」
彼女が目の前で、僕の作った玉子焼きを幸せそうな表情して頬張っている。
その前にこれ、
立場、逆じゃない?(笑)
先生が喜んでるなら別に良いけど。
「吉成君って甘い派なんだね?」
「いえ、それは先生用で…僕のは塩コショウ味です」
「うっそ!!味違うの!?」
「うん」
―パシッ
軽く頷きながらフォークで差した自分用の玉子焼きを口に運ぼうとすると、不意にその手首を掴まれた。
「は!?」
玉子を入れ損なった口を開けた侭、持って行かれた手元を視線が追い掛ける。
三輪先生は止める隙も無い勢いで、ヒョイと口に入れてモゴモゴさせていた。
「あー、ほんろらー。ひょっふぁーい」
「……"ひょ"…?」
三輪先生、なんか子供みたいだな。
可愛い…。
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