hanker;034

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  ついついニヤケてしまっていたのか、先生を眺めていると、不意に口を覆ってそっぽを向かれてしまった。 …あれ?なんで? 「センセ?どうかした?」 「ー――~~ッ、吉成君、今私の事絶対"子供っぽい"とか思ったでしょ!」 「えぇー?思ってないですよー?」 「嘘ぉー?」 「ホントだって」 まぁ、ホントはちょっと思ってたけど。 って云うか拗ねてる所が余計に………なんて、云える雰囲気じゃないよな。うん。 中々こっちを見てくれない先生に、ポツリと独り言を零してみる。 「……。"可愛い"とは思ったけど?」 「!!」 しっかり聞こえたらしく、先生はバッと勢い良く振り返った。 僕を凝視するその表情は、いつになく真っ赤に染まっている。 「…今、なんか云った?」 少し窺う様な眼に、思わず顔が弛んだ。 「気のせいじゃない?」 「……うそぉー…?」 ………。 何も言葉を返さない侭、素直にガッカリする先生の手首を、今度は僕が掴んで引き寄せる。 手の甲に軽くキスをして、一瞬で固まってしまった先生にフッと笑顔を向けた。 「…ごめんなさい。嘘です。」 「………え?」 「"可愛い"って、云った。」 「…えっ!?」 うぅー…ん。 可笑しいな。 僕、こう云う台詞云える様なタイプじゃなかった筈なのに。 先生の前だと、知らない自分がどんどん顔を出す。  
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