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ついついニヤケてしまっていたのか、先生を眺めていると、不意に口を覆ってそっぽを向かれてしまった。
…あれ?なんで?
「センセ?どうかした?」
「ー――~~ッ、吉成君、今私の事絶対"子供っぽい"とか思ったでしょ!」
「えぇー?思ってないですよー?」
「嘘ぉー?」
「ホントだって」
まぁ、ホントはちょっと思ってたけど。
って云うか拗ねてる所が余計に………なんて、云える雰囲気じゃないよな。うん。
中々こっちを見てくれない先生に、ポツリと独り言を零してみる。
「……。"可愛い"とは思ったけど?」
「!!」
しっかり聞こえたらしく、先生はバッと勢い良く振り返った。
僕を凝視するその表情は、いつになく真っ赤に染まっている。
「…今、なんか云った?」
少し窺う様な眼に、思わず顔が弛んだ。
「気のせいじゃない?」
「……うそぉー…?」
………。
何も言葉を返さない侭、素直にガッカリする先生の手首を、今度は僕が掴んで引き寄せる。
手の甲に軽くキスをして、一瞬で固まってしまった先生にフッと笑顔を向けた。
「…ごめんなさい。嘘です。」
「………え?」
「"可愛い"って、云った。」
「…えっ!?」
うぅー…ん。
可笑しいな。
僕、こう云う台詞云える様なタイプじゃなかった筈なのに。
先生の前だと、知らない自分がどんどん顔を出す。
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