hanker;034

7/8
前へ
/248ページ
次へ
  「吉成君って…」 「はい?」 「…たまーにドキッとする様な事、云うよね」 「…………。そう?」 首を傾げる僕に、先生は口をキュッと結んで大きく頷いた。 これじゃ益々「隼人に似て来た」とか云われそう。 だけど こんな自分が、 満更でもなかったり……して。 「…………先生…。」 そっと顔を近付ける僕を、三輪先生が上目遣いで見つめている。 何だか僕までドキドキして来た。 先生にこんな表情させられるのは、彼氏の特権…ですよね? あぁ、今ならすんなりと呼べそう。 呼びたくて、呼べなかった 名ま…… 「いちゃついてる所、悪いんだけどさ~ー」 「…………ぁ?」 最高潮にユルい声に遮られて、目の前の三輪先生と顔を見合わせる。 恐る々々振り向いた僕等の視線の先では、安住先生が腕を組んで扉口に凭れ掛かって立っていた。 うげ!!? いいいいつからそこに!? 「……あの、これはその…」 「あー、安住先生やっと来たぁー」 「……えっ?」 "やっと"? 変な汗垂れ流し状態の僕の隣で、三輪先生が右手を大きく上げる。 その手に促される様に、安住先生が三輪先生の隣に座った。 「ちゃんと来ただけエラいと思って欲しいなぁ~」 「えぇ!?"大事な話"だって何度も云ったじゃないですか!」 机に拳をドンと置いて怒り出す三輪先生に、安住先生が失笑している。  
/248ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加