hanker;035

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   * * * イヴの夜は、三輪先生が予約した、都心にあるフレンチの店で食事して 店の近くのイルミネーションスポットでツリーを眺めて 駅まで彼女を送って帰った。 勿論、楽しかったけど 互いに心に何かが引っ掛かった侭で 特別何かをする訳でもなく まして次に会う約束もなく 一緒に居たのに、どこか寂しい夜だった。 ―ウィ……ン…… マンションに着いて、エレベーターに乗り込む。 上階へ上がる無機質な音だけが、やけに耳に届いていた。 「………。」 いつの間にか日付も越えて、クリスマスイヴは終わったけれど。 …隼人はまだ家には帰っていないだろう。 「………。」 あの部屋で、独りになりたくない。 「………。」 ぼんやりしていると、不意にエレベーターの扉が開いた。 だけど一歩も踏み出せない侭、閉まってしまった。 ……何がしたいの、僕。 どうしたいの?……僕。 ―………ハァ。 先刻から、堂々巡りだな。 「………、取敢ず」 エレベーターは、出るか。  
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