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* * *
―シャー……ッ…
ショッピングモールで真奈達と別れて、地元駅に戻る。
英士と真奈がどうなるのかは判らないけど、もう僕が立ち入れる領域じゃないしね。
僕はその足で学校に向かっていた。
駅からの上り坂を自転車でひた走る。
今は、一秒でも早く、
三輪先生に逢いたい。
漸く学校に着いて、駐輪場に自転車を停めた。
全速力で漕いだ所為か、真冬なのに無駄に暑い。
校内は部活中の生徒達で意外と活気づいている様だ。
「……あ。」
まだ少し荒い息に胸元を押さえながら、ふと気付いた。
そう云えば僕、何も考えずに私服で学校に来ちゃった。
あー…………。
…まぁ、でも。冬休みだし?
取敢ずコート着てれば平気だよね?
暑いから脱ぎたいけど………
……ん?
校舎に入ると、向かいの校舎の壁際に置かれたベンチに、安住先生の姿があった。
相変わらずの緩い雰囲気で、一人、煙草を吹かしている。
不意に昨日の真っ直ぐな視線が蘇ったけど。
振り切る様に首を横に振って、僕は安住先生の元へ向かう事にした。
「…?、おー、吉成。どうした~?」
僕に気付いた先生が、ニヤリと笑みを浮かべながら右手を挙げる。
ペコリと軽く会釈して、促される侭先生の隣に座った。
「安住先生、僕…負けてるかも知れないけど、負けませんから」
「……は?ごめん吉成。意味判んねぇ」
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