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「吉成と話すと戦意喪失するのは俺だけなんだろうか」
「え?…あの、……え?」
「昭和のメロドラマかと思った」
「あ、あのー……。」
安住先生?
それってやっぱり、僕の事が「サムい」って事ですよね?
なんで!?
僕、めちゃめちゃ真面目に話をしたんだけど!?
………はっ、そうか。
だからサムいのか!!
どえぇー―――??
内心パニックになっていると、不意に安住先生が僕の頭をポンポンと撫でる様に叩く。
「泣くなよ、吉成」
「なっ、泣いてないですッ!」
「え~?そこはお前、昭和を貫いて涙の一粒も垂れ流せよ」
「……。」
意味が判りませんけど?
って云うか僕、平成っ子ですけど?
頭に手を置かれた侭、疑問符が並ぶ僕の様子に安住先生がフッと微笑う。
「吉成は多分、そのキャラが周りにウケてんだなー」
「は?」
キャラ?
僕、一体どんなキャラなの?
「…ッ!うわっ!?」
問い掛ける間も無く、頭をわしゃわしゃと力任せに撫でられてしまった。
「お前の周りに集まる奴等ってさぁ~」
「はい?」
鳥の巣状態にされた頭を両手で整えながら、少し怒った口調で返事を返す。
「皆、お前の事大好きだよな」
「…………ッ。」
口を尖らせて視線を泳がせる僕に、安住先生はとても楽しそうだ。
………何なんだよ、本当に。
戦意喪失させられたのは僕の方だ。
だけど、なんだか
『お前の周りに集まる奴等って
皆、お前の事大好きだよな』
凄く嬉しい言葉を云われた気がする。
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