hanker;036

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  「吉成と話すと戦意喪失するのは俺だけなんだろうか」 「え?…あの、……え?」 「昭和のメロドラマかと思った」 「あ、あのー……。」 安住先生? それってやっぱり、僕の事が「サムい」って事ですよね? なんで!? 僕、めちゃめちゃ真面目に話をしたんだけど!? ………はっ、そうか。 だからサムいのか!! どえぇー―――?? 内心パニックになっていると、不意に安住先生が僕の頭をポンポンと撫でる様に叩く。 「泣くなよ、吉成」 「なっ、泣いてないですッ!」 「え~?そこはお前、昭和を貫いて涙の一粒も垂れ流せよ」 「……。」 意味が判りませんけど? って云うか僕、平成っ子ですけど? 頭に手を置かれた侭、疑問符が並ぶ僕の様子に安住先生がフッと微笑う。 「吉成は多分、そのキャラが周りにウケてんだなー」 「は?」 キャラ? 僕、一体どんなキャラなの? 「…ッ!うわっ!?」 問い掛ける間も無く、頭をわしゃわしゃと力任せに撫でられてしまった。 「お前の周りに集まる奴等ってさぁ~」 「はい?」 鳥の巣状態にされた頭を両手で整えながら、少し怒った口調で返事を返す。 「皆、お前の事大好きだよな」 「…………ッ。」 口を尖らせて視線を泳がせる僕に、安住先生はとても楽しそうだ。 ………何なんだよ、本当に。 戦意喪失させられたのは僕の方だ。 だけど、なんだか 『お前の周りに集まる奴等って  皆、お前の事大好きだよな』 凄く嬉しい言葉を云われた気がする。  
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