hanker;037

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  苦笑いを浮かべる僕を指差して、明里が声を上げて笑う。 …うん。 やっぱり明里は笑ってる方が良い。 ………あ。 そうだ、忘れてた。 「明里。手、出して」 「ん~?」 再び自転車を押して歩きながら、コートのポケットに潜ませていた箱を取り出して、明里の手に乗せた。 今朝、真奈と買いに行ったクリスマスプレゼント。 ずっとポケットに入れてた所為か、リボンが曲がってしまっている。 「これ、なに~?」 「メリークリスマス。」 「メリー………えッ!!?」 …ん? 隣を見ると、居た筈の明里が居ない。 今度は明里の方が立ち止まってしまったらしく、振り返ると半ばフリーズ状態の侭で凝視されていた。 「………………………。」 「?、明里??」 「…ちょっとー。」 「はい?」 あれ? もしかして怒ってる? …それとも拗ねてる? 何だか妙に視線が痛い。 ギクリと脈が波を打つ。 …やっぱり今更、遅かった? 「渡すの遅くてごめ…」 ―きゅっ ………ッん?? 謝ろうとするのと同じタイミングで明里がツカツカと歩み寄り、その勢いの侭、背後から僕に抱き付いた。 のわぁーッ!? ビクリと脈が波を打つ。 「ズルい。」 「は…?」 「このタイミングはズルい。」 「そ、そう?」 背中越しに、明里がコクコクと頷いたのが判った。 それを云ったらアナタのこの行動も、相当ズルいと思いますけどー?  
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