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苦笑いを浮かべる僕を指差して、明里が声を上げて笑う。
…うん。
やっぱり明里は笑ってる方が良い。
………あ。
そうだ、忘れてた。
「明里。手、出して」
「ん~?」
再び自転車を押して歩きながら、コートのポケットに潜ませていた箱を取り出して、明里の手に乗せた。
今朝、真奈と買いに行ったクリスマスプレゼント。
ずっとポケットに入れてた所為か、リボンが曲がってしまっている。
「これ、なに~?」
「メリークリスマス。」
「メリー………えッ!!?」
…ん?
隣を見ると、居た筈の明里が居ない。
今度は明里の方が立ち止まってしまったらしく、振り返ると半ばフリーズ状態の侭で凝視されていた。
「………………………。」
「?、明里??」
「…ちょっとー。」
「はい?」
あれ?
もしかして怒ってる?
…それとも拗ねてる?
何だか妙に視線が痛い。
ギクリと脈が波を打つ。
…やっぱり今更、遅かった?
「渡すの遅くてごめ…」
―きゅっ
………ッん??
謝ろうとするのと同じタイミングで明里がツカツカと歩み寄り、その勢いの侭、背後から僕に抱き付いた。
のわぁーッ!?
ビクリと脈が波を打つ。
「ズルい。」
「は…?」
「このタイミングはズルい。」
「そ、そう?」
背中越しに、明里がコクコクと頷いたのが判った。
それを云ったらアナタのこの行動も、相当ズルいと思いますけどー?
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