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「慶、こっち。」
「うん?」
いつの間にか離れて僕の隣に立っていた明里が、不意に僕の首に手を伸ばしてくる。
「キスしたい。」
「ッ……!?」
返事する間も無く、ぐいっと顔を引き寄せられて、キスされた。
「…ー――~~ッ!??」
不意打ちにも程がある。
動揺を隠す余裕も無い。
「ふふふ。顔、真っ赤だよ?」
「…ここ、思いっ切り通学路なんだけど」
口元を手で覆いながら俯きがちに視線を落とすと、引き寄せられていた手が更に向き合う距離を近付けた。
息が掛かりそうな位の、至近距離。
「誰も居ないし。バレない為の私服なんじゃないの?」
「え。」
呆気に取られる僕に、明里が悪戯っぽく笑う。
そうだ。そう云えば僕、私服で学校に来たんだった。
一応目立たない様にコート着てたんだけど。
気付いてたんだな。
「…………そう、かもね」
何となく視線を逸らしたのも束の間で、口元を覆っていた手が外されて、再びキスされた。
先刻より少しだけ、熱を帯びたキス。
どうしよ。
これ以上は、離れられなくなりそう。
現に離された唇が、何だか物足りない。
「…まだ。」
まだ。全然足りない。
「えっ?」
明里の腰に手を回して身体を引き寄せる。
自分でも止められない程の、キスの雨が降った。
…なんだこれ。
幸せオーラ出過ぎかも。
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