hanker;038

3/3
前へ
/248ページ
次へ
  明里の肩に凭れる様に、顔を埋める。 「………先生、僕…」 「ぇ、えっ!?何で"先せ…"」 「僕、もっと、明里を好きになっても良いですか?」 「へ……っ?」 耳元でそっと呟くと、短い沈黙の後、くすぐったいのか少し顔を背けながらクスクスと笑い出した。 「良いですよ~ー?」 「………、な…」 なんで笑うかな。 しかもそんなアッサリ答えてくれちゃって。 大丈夫かな。 ちゃんと伝わってるのかな。 疑う訳じゃないけど。 アッサリし過ぎてて逆に不安。 ―…ハァ。 成長しないな、僕も。 顔を上げて、額に額をコツンとくっつけてみる。 照れ隠しなのか、自分でも早口になっているのが判って、余計に顔が火照ってきた。 「後で駄目とか云われてももう抑えられないよ?良いの?」 「うん。」 「…本気だよ?かなり。」 「うん。慶のそーゆー所、好き。」 「………。」 笑っていたかと思えば、こんな風に真っ直ぐな視線が注がれたりして。 ………えー…っと。 そんな事云われたら、もう何も云えないんですけど? "惚れた弱み"ってこう云う事を云うのかな。 もしそうだとしたら 明里には到底、適いそうにもない。 だけどこんな弱みなら、握られた侭でも良いかな…なんて思ってる。 身体を離して向き合い、どちらからともなく笑い合った。 本当はずっと探していたのかも知れない。 自分が一番大切な存在になれる、誰かを。 自分が一番大切な存在に思える、誰かを。 「…慶、なんか嬉しそうだね?」 「………そう?」 「うん。」 僕には勿体ない位の 大切な存在。  END.  
/248ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加