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明里の肩に凭れる様に、顔を埋める。
「………先生、僕…」
「ぇ、えっ!?何で"先せ…"」
「僕、もっと、明里を好きになっても良いですか?」
「へ……っ?」
耳元でそっと呟くと、短い沈黙の後、くすぐったいのか少し顔を背けながらクスクスと笑い出した。
「良いですよ~ー?」
「………、な…」
なんで笑うかな。
しかもそんなアッサリ答えてくれちゃって。
大丈夫かな。
ちゃんと伝わってるのかな。
疑う訳じゃないけど。
アッサリし過ぎてて逆に不安。
―…ハァ。
成長しないな、僕も。
顔を上げて、額に額をコツンとくっつけてみる。
照れ隠しなのか、自分でも早口になっているのが判って、余計に顔が火照ってきた。
「後で駄目とか云われてももう抑えられないよ?良いの?」
「うん。」
「…本気だよ?かなり。」
「うん。慶のそーゆー所、好き。」
「………。」
笑っていたかと思えば、こんな風に真っ直ぐな視線が注がれたりして。
………えー…っと。
そんな事云われたら、もう何も云えないんですけど?
"惚れた弱み"ってこう云う事を云うのかな。
もしそうだとしたら
明里には到底、適いそうにもない。
だけどこんな弱みなら、握られた侭でも良いかな…なんて思ってる。
身体を離して向き合い、どちらからともなく笑い合った。
本当はずっと探していたのかも知れない。
自分が一番大切な存在になれる、誰かを。
自分が一番大切な存在に思える、誰かを。
「…慶、なんか嬉しそうだね?」
「………そう?」
「うん。」
僕には勿体ない位の
大切な存在。
END.
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