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隼人は飄々とした様子で、慶の手首を掴んでパクッとソフトクリームを口に入れている。
「…うわ、甘。いらね。」
「はーやーとぉー~~。」
あはは。
このやり取り、二回目だし。
堪え切れなくて隣で爆笑してしまった。
…あ。因みに慶の云い分が正しいです。(笑)
この二人は相変わらず、仲が良過ぎなんだ。
お陰で未だに、たまーにヤキモチ妬きそうになるけど。
最近は微笑ましくも思える。
何より二人と一緒に居るのは、やっぱり楽しくて。
"幼馴染み"と云う枠に甘えて、二人の間に入れて貰ってる。
本当はちょっと、不安だった。
夏に隼人に本気で告って、見事に玉砕して。
気持ちの整理が中々付けられなくて。
やっと今まで通りに向き合える様になったと思ったら、今度は慶に彼女が出来たって云うし。
いつまでも三人で笑い合えたら嬉しいけど。
それって実は凄く稀少な事なんじゃないかな。
―パンッ!
漸く順番が回って来て、お賽銭箱の前で三人並んで願いを掛ける。
…願い事って、神様は幾つまで聞いてくれるんだろう。
毎年沢山あり過ぎて一つに絞れないんだよね。
…………。
私って、欲張り??
「あ、あれっ?」
目を開けると、隣に居た筈の慶たちが見知らぬオジサンに変わっていた。
…うぅ。
また私、置いて行かれたみたい。
正確には、私の願掛けが長過ぎて待ち切れない隼人が、慶を連れてサッサと移動してしまったのだと思う。
聞かなくても、それ位は容易に想像が付く。
境内を見渡すと、案の定、甘酒売場に二人を発見した。
「真奈お帰り。甘酒飲む?」
駆け寄る私に、慶がホワンとした表情で微笑う。
小さい紙コップを両手で持って、フーッと息を吹きかけながら少しずつ飲んでいるのが、子供みたいでちょっと可愛い。
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