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つられて私まで表情が弛んでしまう。
「うん!飲みたいな~」
「じゃあ俺の、やるよ。」
「えっ!?」
慶との間に割って入る様に、スッとコップが差し出された。
見ると、隼人が渋い表情で私に促している。
「貰って良いの?」
「甘ぇし。いらね。」
「………。」
隼人…。甘酒なんだから甘いのは当たり前だと思うよ?
なんか本当に辛そうだから云わないけど。
紙コップの中を覗くと、甘酒はほんの一口しか入っていなかった。
「………。」
しっかり飲んでるじゃん!!
もぅ、これだから隼人は…
「真奈。」
「はい?…痛ッ!!」
半ば呆れ気味で振り向くと、隼人の手が丁度額に当たってしまった。
それでも隼人が手を除ける気配は無く、寧ろ鼻に何か当たっている。
「な…なにー?」
顔を顰(しか)めながら鼻を押さえると、漸く手を離した隼人がニヤリと笑っていた。
…ん!?
鼻に残されたそれを手に取ってみると、お守りが一つ。
しかも『合格祈願』の文字がある。
「慶に買ってやったから、これはお前の分ね」
「え…?私にも買ってくれたの?」
「子供騙しだろうけど。お前等子供だし良いかと思って」
掌の御守りが、キラキラに輝いて見える。
だって隼人が…!
隼人が私にお守りを買ってくれるなんて!!
それ自体が既に効果発揮してる様なモノだよ!!
ね!?
「隼人、有難う!受かる気がして来た!」
お守りを胸に当てて心からお礼を云うと、隼人は髪をくしゃくしゃ撫でながらフッと微笑ってくれた。
あー…。
私、お手軽な女だと思われてるんだろうなぁ…。
でも、良い。
私はやっぱり隼人が大好き。
笑顔一つでこんなにトキメキをくれる人、他にいないもん。
だから、先刻『隼人に彼女が出来ません様に』って神様にお願いした事は、今年も絶対に秘密ッ!!
…って、あれ!?
甘酒を飲み干してコップから顔を上げると、二人がまた居なくなっていた。
「えぇー!?」
またー!?
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